廃用身

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  • サイズ B6判/ページ数 323p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344003408
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、しかも回復の見込みのない手足のことをいう医学用語である。医師・漆原糾は、神戸で老人医療にあたっていた。心身ともに不自由な生活を送る老人たちと日々、接する彼は、“より良い介護とは何か”をいつも思い悩みながら、やがて画期的な療法「Aケア」を思いつく。漆原が医学的な効果を信じて老人患者に勧めるそれは、動かなくなった廃用身を切断(Amputation)するものだった。患者たちの同意を得て、つぎつぎに実践する漆原。が、やがてそれをマスコミがかぎつけ、当然、残酷でスキャンダラスな「老人虐待の大事件」と報道する。はたして漆原は悪魔なのか?それとも医療と老人と介護者に福音をもたらす奇跡の使者なのか?人間の誠実と残酷、理性と醜悪、情熱と逸脱を、迫真のリアリティで描き切った超問題作。

著者等紹介

久坂部羊[クサカベヨウ]
大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。医師。『廃用身』がデビュー作
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おかむー

100
誰しもが一度は読むべき怪作。楽しさや感動はカケラもないが、介護の切羽詰まった現実、フィクションながらも妄想では片付けられない「Aケア」の可能性と漂う違和感。『たいへんよくできました』。物語を際立たせるために介護の“悪い面”を強調している嫌いはあるものの、それは誇張されているわけではなく現実に存在している“悪い面”であることがこの作品のリアリティなのだろう。軸となる漆原医師は理想に燃えた開拓者なのか、それとも冷酷な狂気を秘めた悪魔なのか。読み始めたら止まらない、読後の言葉にしがたい複雑な思いは特筆もの。2015/02/20

里季

91
高齢者社会に起こる介護問題の提唱の話と思って読み始めたが、最初はいい思い付きに思えたその治療(処置?)法が、だんだんと狂気じみていると思うようになっていた。漆原のしたことは、限られたそのデイケアセンターの中でだけ通じるのだと思う。問題提起としてはうなずけたが、だめだ、これはいけない、耐えられない何者かが渦巻く。2017/02/02

けい

91
読友さんの感想から手に取った作品。冒頭から殴られた様な衝撃が走る。葉真中さんが『ロスト・ケア』で書かれていた内容に近いものが10年も前の作品に書かれているではないか。本作で描かれる一つの解決手法、それを考え、実施する個人の本質、それに対する世間の反応を一種のシミュレートとして描いているのですが、これがリアルでドキュメントかと思うほどのこだわり(最後に著者略歴ページまで入れる念の入れよう、くしくも主人公同い年だわ)今あるかもしれない内容を、恐怖と興味を持って読み終えました。2014/11/23

milk tea

83
廃用身の切断は究極の選択。将来、老人と介護のバランスがもっともっと崩れてくるとどうなるんだろう。この選択が「あり」となり、普通の日常になってしまうのだろうか。漆原医師が列車に飛び込み「頭は 私の 廃用身」という言葉を残し自殺する。ショッキングすぎる。 最後のページの著者略歴を読んだ時、 これはやっぱりノンフィクション?あー、よくわからないとなったが、何はともあれ読み応えのある一冊だった。2019/05/07

metoo

80
お花畑を歩いていたら突然深い穴に落ちた、と思ったら全てが夢だった!みたいな読後感。脳梗塞などで麻痺し回復の見込みのない手足「廃用身」を切断する「Aケア」。切り捨てることでケアする人の負担を減らし本人の体の負担も減らす。私の老後は、体を切り捨てられるだけでなく、人として社会から切り捨てられ、切り捨てられた人々が一つの地域でオートマティカリーに生かされ、放置されるような事態になりそう。そんな薄ら寒い予感さえ覚える。これは、本書は、本当にフィクションですよね?2015/10/29

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