内容説明
最前線で闘う現場の苦悩と挑戦。新型コロナウイルス感染症は「断らない救急」を掲げる病院の根幹をゆるがした。院内感染、機能停止、患者と家族、増加する感染者数…未曾有のウイルスとの闘いに迫る。
目次
第1章 プロローグ
第2章 挫折と再起 第1波~第2波
第3章 逼迫
第4章 病床の守りびと
第5章 オミクロン到来 第6波~第8波
第6章 エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
118
当時日本の最前線でコロナ感染と戦った神戸中央市民病院の取材記録。感染を恐れた清掃業者の勤務拒否、院内感染で亡くなった患者、心肺停止で運ばれる多数の患者、命の選別の議論、医療者自らの感染の恐怖など、本書を読むまで実感できてなかった。当時地方勤務の産婦人科医だった自分にはそのような恐怖は(何もなかったわけではないが今思えば)非現実のことのよう。この壮絶な時代の記録は後世のためにしっかり残していかないといけない。まだ新型肺炎の正体も分からない時期の取材は記者にとっても命懸けだっただろう。報道記者の意地を感じた。2025/02/04
はかり
17
2020年3月、コロナが初めて神戸で発生した。それまで日本一の救急医療センターを誇った神戸中央市民病院は、救急患者の受け入れや手術を急遽取りやめ、重篤なコロナ患者の受け入れに専念した。この方針転換は様々な軋轢を生んだが、結果的には大正解だった。未知のコロナに対応する看護師などへの偏見や差別は筆舌に耐えがたいものだった。2024/04/06
わらわら
10
今のうちに書き残さないと、全部忘れてしまって何がどうなったか、神戸新聞社論説委員田中信明氏が記事としたものが本となった。神戸市立医療センター中央市民病院の救急医療は「最後のとりで」として救急患者を受け入れるということはコロナ前から言われていた。2020年の3月から始まったコロナのパンデミック、私たちも戸惑わせたが私の記憶も薄れていている。医療としてどう命と向かえあったかが切実に書かれている。昨今第11波と言われている、分類は変わったが命を脅かすものは同じだろう。医療の大変さを知り私たちも考えないといけない2024/07/20
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