内容説明
自他共に不良学生と認めた旧制豊岡中学在学中から浪人時代、“風”“雷”のニックネームで呼びあった小西哲夫氏へ宛てた19通、中学の卒業証書を半分に切って封筒に張り、小西氏と分けて宛てた北井豊氏への1通、上京後、中学時代に親交を結んだ吉田靖彦氏へ宛てた終戦の年までの22通を収録。山田風太郎若き日の抒情と、天性のストーリーテラーとしての才能が全編に溢れる、万人必読必見の書簡集。
目次
小西哲夫宛(昭和十四年~昭和十六年)19通・北井豊宛(昭和十五年)1通
吉田靖彦宛(昭和十八年~昭和二十年)22通
著者等紹介
有本倶子[アリモトトモコ]
1944年、兵庫県養父郡関宮町中瀬に生まれる。京都平安女学院短期大学を経て、同志社大学文学部を卒業。1969年、歌誌「形成」に入社、木俣修に師事する。歌集、エッセイ、評伝、童話ほか著書多数。「山田風太郎の会」を設立し、山田風太郎記念館建設に奮走する。同会副会長
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感想・レビュー
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湯豆腐
1
1939年〜45年の時期に山田風太郎から友人に宛てた書簡集。宛先の小西哲夫、吉田靖彦、北井豊はみな風太郎の日記でなじみのある名前。"雷""不遜"こと悪友小西に送った中学卒業〜浪人時代の手紙は、万引き500余冊だの卒業証書を破って封筒にするだの小説以上の不良ぶりを伝えている。孤独で神経質な文学青年と、彼が唯一甘えられる豪放な転校生の不良コンビ。これだけで小説の題材になりそうな好対照。小西、吉田とのやり取りは続いたはずだし、資料館には江戸川乱歩や横溝正史、高峰秀子らの手紙もあったので戦後篇の刊行を待ちたい。2022/06/06