内容説明
原作の味わいを残す加工訳で読む、近松世話物不朽の三作品。
著者等紹介
大伴茫人[オオトモノボウジン]
本名・田村秀行。著述家、日本語講師。1952年、東京都に生まれる。京都大学文学部を卒業後、大手予備校の講師を経て独立。フリーランスの講師として、現代文・古文・漢文を教えるとともに、古典文学の楽しさを現代に伝えるための著作活動を精力的に続けている
近松門左衛門[チカマツモンザエモン]
本名・杉森信盛。1653(承応2)年~1724(享保9)年。江戸時代前期に人形浄瑠璃、歌舞伎の世界で活躍した劇作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れなち
6
『曽根崎心中』と他2作品を収録。どれも大阪町人と遊女の恋で、結末は心中や横領の末の駆け落ち…。現代人の私にはもうちょっと穏当な方法あるやろ、、とも思いつつ、しかしかつての日本人(とくに武士や貴族でない周辺の人々)の生き様が垣間見えて楽しい。とにかく町人の金遣いがやばいですね笑。同じ「加工訳」シリーズの樋口一葉と比べると、元禄と明治の差は大きいようで、こちらはあまり原語部分が残らなかった感。それでも「この世の名残り 世の名残り」からの一節はめちゃめちゃカッコいいので、青空文庫などでぜひ読んでみてほしい!2021/10/22
あおい
3
図書館本。来年宮沢りえが近松モノの遊女梅川を演る、というので読んでみた。本書は「曽根崎心中」「心中天の網島」「冥途の飛脚」の3篇。公演の方は世話物の「冥途の~」他2篇らしい、駆け落ちモノか。。。さて、心中モノで有名な近松、お初徳兵衛の「曽根崎心中」の題名しか聞いたことが無い。いづれの話も実際の事件が題材、道行きのくだりが劇的で最後は美的な世界観の悲劇、それが庶民に大ウケで歌舞伎を凌ぐ人気だったそうな。原作は人形浄瑠璃だから加工訳も語りっぽく工夫されている。私も太夫っぽく音読してみた(^^)雰囲気は味わえる2017/11/23
果てなき冒険たまこ
1
加工訳というのがどんなものかは知らなかったけど「本文をただ忠実に訳すのではなく原作の筋と場面の雰囲気を受け取りやすい形に訳す」ものらしい。以前古典文学全集を対訳や解説を参照しながら必死に読んでた時期があるけどまぁ何と読みやすいことか。サクッと読めるし粗筋もわかるし原文の雰囲気も十分に伝わってくるし。この手の本はどんどん出てほしいよね日本人の基本教養に古典なんてあるのかわかんないような時代だしね。2024/01/05