出版社内容情報
【読者対象】
高校生や大学生,大学院生をはじめ,バーチャルリアリティ(VR)や触覚(ハプティクス)の研究を志す初学者。また,ロボティクス,人間工学,インタフェース開発などの分野で触覚提示やセンシング技術の実装に携わる技術者・研究者。
【書籍の特徴】
本書は,「バーチャルリアリティ学ライブラリ」シリーズの一冊として,触覚(ハプティクス)の基礎から応用までを一冊で包括的に学べるよう構成されている。国内の第一線で活躍する総勢29名の触覚研究者が結集し,今後10年に欠かせないと考えられる知見を厳選し,わかりやすく横断的・体系的に解説している。生理学・心理学の基礎知見と,工学的な計測・提示技術がどのように結びついているかを明確に示し,分野の全体像を見渡せる指針となる。
【各章について】
第1章「基礎」では,皮膚に存在する複数の触覚受容器(物理的変形を検知する機械受容器,温度変化を検知する温度受容器,組織損傷を検知する痛覚受容器など)の生理学的メカニズムや,脳内での情報統合,錯覚,クロスモーダルといった知覚・心理特性の基礎を紐解く。 第2章「計測」では,触覚刺激に対する生体応答の計測,およびロボットやシステムに不可欠な触覚・力・モーションセンサの物理的計測技術,さらに感覚の評価方法を解説する。 第3章「提示」では,リアルな触覚をユーザーに伝えるための各種ディスプレイ技術(触覚・力覚・温覚ディスプレイなど)と,そのレンダリング・設計手法を網羅する。 第4章「応用」では,エンタテインメント,情報伝達,感覚変容など,VRや社会実装におけるハプティクス技術の具体的な適用事例と今後の展望を紹介する。
【著者からのメッセージ】
触覚研究は多くの学問分野が交差する,発展が目覚ましく刺激的な領域です。「触覚を学びたいが,どこから手を付ければよいかわからない」という声を耳にすることがあります。本書は,そのような初学者が迷わずに入り込める「最初の入口」となることを目指して執筆されました。先人たちが築き上げてきた「触覚学」の知見を共有し,読者の皆さんが新しい触覚体験やインタフェースを創造するための強固な土台となれば幸いです。
【キーワード】
バーチャルリアリティ/ハプティクス/触覚/機械受容器/皮膚感覚/自己受容感覚/触覚センサ/触覚ディスプレイ/触錯覚/クロスモーダル
【目次】
第 I 部 触覚の基礎
1.生理学
1.1 皮膚感覚と自己受容感覚
1.1.1 皮膚感覚
1.1.2 自己受容感覚
1.2 触覚を支える神経基盤
1.2.1 末梢から中枢へ
1.2.2 一次体性感覚野
1.2.3 二次体性感覚野
1.2.4 頭頂連合野
1.2.5 高次視覚野
1.2.6 感情的触覚
2.心理学
2.1 知覚特性
2.1.1 皮膚変形の検出
2.1.2 空間分解能
2.1.3 温度の知覚
2.1.4 振動周波数知覚
2.1.5 粗さの知覚
2.1.6 テクスチャ知覚
2.1.7 2次元パターンの知覚
2.1.8 運動の知覚
2.2 アクティブタッチ
2.2.1 探索手続き:判断したい触り心地に応じて変化する手指の動き
2.2.2 物体の触り心地に応じて変化する手指の動き
2.2.3 触り方が変わったときの触り心地への影響
2.2.4 私たちは触り方と触り心地の関係を知っている
2.3 触覚の錯覚
2.3.1 運動の錯覚
2.3.2 触れた物体の距離・大きさの錯覚
2.3.3 形状の錯覚
2.3.4 材質感の錯覚
2.3.5 重さの錯覚
2.3.6 自他区別の錯覚
2.4 クロスモーダル効果
2.4.1 クロスモーダル効果の基礎
2.4.2 代表的なクロスモーダル効果の特徴
2.4.3 神経科学的基盤
2.4.4 多感覚統合の数理モデル
2.4.5 触覚と他の感覚モダリティとの相互作用
2.4.6 クロスモーダル触覚の応用と展望
2.5 触覚のことば
2.5.1 感覚や情動のカテゴリとことば
2.5.2 形容詞による触覚のカテゴリ化
2.5.3 オノマトペによる触覚のことばの分布図
2.5.4 触覚のことばによる素材の配置
コラム:かき消される触感
第 II 部 触覚の計測
3.計測法概論
3.1 力触覚情報の計測の目的
3.2 力触覚情報の階層とさまざまな測り方
4.身体運動・物理刺激・性質の計測
4.1 力触覚刺激の種類
4.2 機械刺激の運動学的計測
4.2.1 変位
4.2.2 速度・加速度
4.2.3 振動
4.3 温冷刺激の計測
4.4 機械特性の計測
4.4.1 硬さの計測
4.4.2 摩擦係数の計測
コラム:同じ物理刺激でも異なる感じ方? 社会と力触覚
5.生理学実験と計測手法
5.1 実験計画と仮説
5.2 陽性対照と陰性対照
5.3 交絡要因
5.4 被験者内要因と被験者間要因
5.5 従属変数と独
目次
第1部 触覚の基礎(生理学;心理学)
第2部 触覚の計測(計測法概論;身体運動・物理刺激・性質の計測;生理学実験と計測手法;知覚特性の測定・心理物理測定法;物理モデリング;センサー;触覚理解のための信号処理)
第3部 触覚の提示(提示法概論;振動刺激;力覚;温度感覚の提示;新しい触角の提示手法)
第4部 触覚の応用(応用概論;触感を設計する;触覚を評価する;触覚を伝える;触覚を変容する;触覚で代行する;触覚をエンタテインメントにする)
著者等紹介
嵯峨智[サガサトシ]
2007年 東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了(システム情報学専攻)、博士(情報理工学)。2017年 熊本大学准教授
吉元俊輔[ヨシモトシュンスケ]
2012年 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了(機能創成専攻)、博士(工学)。2024年 大阪大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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