出版社内容情報
伝説の植物マンドラゴラ、食虫植物のウツボカズラ、神秘的な月下美人など、世界各地の植物にまつわる、不気味で不思議な物語10篇を収録。妖しくも美しいカラーイラストも時空を超えた恐怖の世界へといざないます。
内容説明
魔力を秘めた植物は、人の心に根をおろす。花で惑わし、香りで操り、毒の蜜でかき乱す。千の芽、万の葉しげらせて、植物たちはあなたを見ている。
著者等紹介
廣嶋玲子[ヒロシマレイコ]
横浜生まれ。第四回ジュニア冒険小説大賞の『水妖の森』(岩崎書店)でデビュー。『狐霊の檻』(小峰書店)で「第34回うつのみやこども賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
73
児童書。妖しい植物にまつわる話10編▽[処刑台のマンドラゴラ]古都バイエルン。植物研究者は無実の人を処刑台におくる[幽霊芝]古代、東の大国。食べると賢くなるキノコ[悪魔の時計草]ノースヨークシャー。命と引き換え[誘惑のウツボカズラ]ベネツィア。食虫植物[朧の月下美人]京の都。凶相の子どもを隠し育てる[潮騒の人魚草]アイルランドの漁師町。子供が見つけた人魚[死香のジャスミン]アラビア。王にさらわれた幼馴染[嫉妬の青真珠草]大正時代風[脇役のかすみ草]自分が主役[夢紡ぐもの]夢に出てきた女の子▽2024.3刊2024/04/16
糸巻
25
植物に纏わる怪奇・幻想小説。10話収録の短編集。カバー表紙も素晴らしいのだが、各話でもカラーのイラストが差し挟まれそれも楽しみにページをめくった。日本だけでなく世界の国々を舞台に、人が持つ醜い欲望と美しい植物を絡ませ、行き着いた悲劇を描いている。読後は遣る瀬なく切ない余韻に浸る。平安時代(多分)の日本に咲いた月下美人のエピソード『朧の月下美人』が好き。児童書のようだが大人が読んでも楽しめる。2024/03/31
花林糖
15
妖しい草花に纏わるお話10篇。舞台は昔のバイエルン・中国・英国・ベネチア・京の都、他。妖しいホラーの空気漂う好みの短篇集で◎。最終話の「夢紡ぐもの」が一番◎。他「処刑台のマンドラコラ」「幽霊芝」「朧の月下美人」「嫉妬の青真珠草」も好み。各話に見開きのカラー絵有り。表紙、挿絵、全て妖しく美しく◎。2024/04/19
鳩羽
10
美しい花、芳しい香り、薬にも毒にもなる植物に魅せられ道を踏み外していく人々を描いた短編集。古今東西の国々が舞台で、原典があるのかな?と思うような、どこかで読んだことがあるような気もする話も。あやしげで美麗なイラストと、どこか官能的な話運びでもあり、児童書としては怪しげで魅力的な本といったところかも。「悪魔の時計草」「処刑台のマンドラコラ」が怖い。「朧の月下美人」「潮騒の人魚草」がいかがわしくて好き。2024/04/17
mayuri(Toli)
6
友人から誕生日に頂いた廣嶋玲子さんの好きなテーマの新刊。もうこの本自体が魔力を持った禁書かと思うくらい面白くて一気に読んでしまった。のめり込んで内容をメモしながら読んでたら読書のお供で飲んでいた紅茶のカップが割れたので、本に出てきた植物たちが嫉妬したのかもしれない。まさにタイトル通りの妖花魔草の物語で、本当に面白い。内容というか雰囲気は作者の魔石館のホラーよりの短編集。小学校高学年くらいの子達が好きそうな御本でした。お勧めすぎる。2024/03/16