目次
1 わたしたちの身近な仲間たち―雑草
2 雑草たちの生きざまを知る
3 侵入雑草の陣取り戦術
4 作物と雑草たちの関係
5 ただの草か、ただならぬ草なのか
6 陣取り合戦を観察するために
著者等紹介
根本正之[ネモトマサユキ]
1946年、東京都に生まれる。東北大学大学院農学研究科修了。農林水産省農業環境技術研究所を経て、現在東京農業大学地域環境科学部教授。中国科学院蘭州沙漠研究所奈曼沙漠化ステーション名誉教授。専門は植物生態学。人工草地や谷戸田など身近な自然の雑草群落について研究するかたわら、中国やオーストラリアなどの半乾燥地域が砂漠化するメカニズムや、ブラジル・セラードの生物多様性保全について研究してきた
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感想・レビュー
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チャーリブ
28
本書は、雑草を「人間の息のかかった場所に自然と生えてくる、見栄えのしない草」と定義しているが、「見栄え」云々は余分な気がする。雑草たちも他の生物の同じように自分の遺伝子を残すために厳しい生存競争(陣取り合戦)をしている。有名なセイタカアワダチソウとススキの陣地争奪戦も、陣地拡大戦略の前者では独占的群落になるのに対して、陣地強化戦略の後者では他の雑草とも共存する群落を作るという。空き地で壮絶な戦いをするよりも、街なかのニッチを見つけてのんびり生きるのがいいなあと、つい自分自身に引き寄せて考えてしまう。○2022/04/16
キンとギン
11
畑で雑草が果たす役割、雑草の活用、雑草の調査方法などの記載あり。アレロパシー物質を出すセイタカアワダチソウは集積してくると自分自身も中毒を起こし衰退してくると言われている。アレロパシー作用だけでは他の雑草を枯死させることは少ない。帰化植物の中でも「史前帰化植物」「旧帰化植物」「新帰化植物」に分けられる。2017/05/23
Misaki
1
雑草を「防除」するのではなく、「制御」とか「コントロール」する、かぁ。ちょっとしたパラダイムシフトかな。確かに、野の花をそれだけで育てようとすると案外難しくて、他の草を生やしたところだと元気に育ったりするもんなぁ…。「雑草の根が土を耕す」と言ってた人がいるけど、それも正解ってことかな。植物を育てるってことはそこに一つの生態系を成立させるってことだから、要素が少ないとそれだけ不自然になるってことなんだろうね。それにしても雑草の成長戦略の多様性ってすごいね…。雑草たちも愛おしく思えてきました(笑)。☆☆☆☆★2016/03/03
とこやき
1
雑草なんて草はないとか言う呑気なこと言った本のあとに読んだら、現実を見せつけられました。力強い生命力には一種の感動さえ覚えます。2015/06/05