内容説明
お父さんの船室にくるたびに、わたしは写真の人たちに「こんにちは」といった。お父さんの両親、軍服姿のウィリーおじさん、おじさんの妹のアルバおばさん。そしてビルおばさんとソフィーおばさん、わたし。でも、きょうは新しい写真が一枚あった。女の子と男の子の写真でふたりともわたしより年下だ。どことなく、見おぼえのある気がした。長いかみをカールさせた女の子は、うつされるのがこわいみたいに目をほそめている。男の子はカメラにわらいかけていて、わんぱくそうでかわいい。前歯が一本かけている。わたしはその写真を手にとってきいた。「この子たち、だーれー!」。小学校高学年以上向き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けいにゃい
4
【YAの会】親と子の素直になれない感じや異性の友達への憎まれ口もすごく描写が上手い。異母姉弟を僻むわけではなく、仲良くなりたいと思う主人公ジェーン、複雑な家庭環境だけれど叔母さんたちもとても素敵で家族をテーマにした上質な外国文学でした。2022/01/04
HISA
1
☆☆☆☆人物一人一人にすごく厚みがあるというか、個性の描き方が鋭いのはどの作品にも言えると思う。改版もされてないし、忘れられていくのはとても惜しい、素晴らしい作家。2021/04/05
けむりの猿c((•ω•))ɔ
1
私の方を向いた時もまだ笑っていた。でも、私は、他の人に向けた笑顔のしっぽなんか欲しくなかったので、笑い返さなかった…。母を幼くして亡くし、父親は再婚。親類の2人のおばの元で暮らしているジェーン。客船の機関士をしている父とは寄港した時にしか会えない。父の船室に飾られていた写真で、義理の妹と弟が居ることを知る。ひとつ年下の冴えないボーイフレンド、プレイトーと、妹達の住所を探り当てる。初めて会った妹の容姿や仕草を愛らしく描いてからの、ギャップ。良質な児童文学だが巧妙な仕掛けのミステリー要素もある。隠れた名作。2020/04/15