目次
灯火のない町(たくさんのエジソン;居間のなかのたき火;たき木のかわりに一本の割り木 ほか)
さいしょの街灯(夜と昼;ロウソクのほのおの秘密;煙突つきランプ ほか)
ガスと石油の灯火(ロウソン台の上のガス工場;さいしょのガス工場 ほか)
ほのおのないランプ(火バシとランプ;複雑なランプの再現;ガスと電気の戦い ほか)
熱のない光(熱との戦い;世界でいちばんよいランプ;たき火から電球へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
10
燈火すなわち暗がりを照らすものが時代を降ることでどう変遷してきたかについて書かれている。人間の道具としての燈火。この発展の歴史における最大の不都合は明るさを求めると、そこには必ず熱を伴うということであった。強い明かりに伴う熱は、時に火傷、ひどくは火災をもたらしてしまう。それで著者は燈火の歴史の理想は「螢の光」にあるのだという。蛍の光は熱の伴わない明かりなのであり、今後の燈火道探求は螢の光をどう人間の暗闇に応用するのかにあると述べる。でも60年以上も前の本だから、この道はもっと進んでいるかもしれない。2015/09/11
モリー
0
およそ百年前に書かれた灯火(照明)の歴史を紹介する内容の本である。驚いたのは著者の先見の明だ。例えば『熱として失われるエネルギーがいちばんすくないような光をえること』と述べている箇所は現在LED が実現したことそのものではないか。また、照明の歴史は人類が火をおこすことを知ったときから多くの人々の発明が積み重ねられてきた歴史であるということが多くの歴史的事実の紹介で明らかにされる。照明がエジソンただ一人の偉大な発明であると思い込んでいた私には目から鱗だった。2017/08/22