内容説明
四番町少年合唱団の第一ソプラノ・開は、謎めいた新入団員・翔平の声に衝撃を受ける。なんて声だ!翔平がライバルとなることを強く意識する開。やがて、距離を縮めるふたりに、つぎつぎと思いがけないできごとが…。変声期を前にした少年たちの心の揺らぎ、演奏会で起こった奇跡とは?そして、天正時代に生きた美声の少年・コタロウとは?
著者等紹介
中澤晶子[ナカザワショウコ]
1953年、名古屋に生まれる。『ジグソーステーション』(汐文社)で野間児童文芸新人賞受賞
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年、東京に生まれる。1985年、ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクールで銀賞、1995年『ガドルフの百合』で小学館絵画賞、1999年『真幸くあらば』で講談社出版文化賞さし絵賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マツユキ
13
少年合唱団に所属する開は、刑場の森とも呼ばれる森の礼拝堂で、新入団員の翔平と出会うが…。 現代の少年と、天正遣欧使節について、ローマまで行った貧しい少年の物語が交互に語られます。信仰というと、正直、分からないんですが、隣りにいる人々と、声を合わせ、心を通わせる喜びは、何ものにも変えがたい。声変わりはリミットではあるんだけど、より大きく成長していく少年たちが清々しい。2021/08/26
joyjoy
9
少年合唱団の男の子たちの不思議な体験。「…、嘆くことはありません。生きることと死ぬことは同じ重さです。よく生きれば、よく死ねる。死ぬことは、生きることの集大成、つまり、総まとめかもしれませんよ」。「みなさんは、一人ひとり、ちがったことばで思い、祈ればいいのです」。「わかりますか。みなさん」が口癖のタナムラ先生の言葉に、ハッとさせられることしばしば。悲しみのなかにある喜び、というものもある、ということを知っているだけでも、ちょっと心が安らぐ気がする。合唱団の歌う聖歌やオラショを聞いてみたくなった。2022/09/04
いよの缶詰め
6
天正遣欧少年使節と少年合唱団についての物語。授業でも資料集で目を通しておきなさい程度の存在。それは転校してきた彼が全ての始まりだった。時々現る翔平の日記を読んでいると、彼はあの天正時代をコタローの生まれ変わりなんだろうか?と思っていた。この作中に登場する歌ってどんな曲だろうと考えていた。なんだか、長崎に行ってみたくなってきた……。あ、こら戦国鍋の歌って踊れる天正遣欧少年使節団じゃないんだ。こら、やめなさい2021/03/29
バジルの葉っぱ
1
現代の、中世・ルネサンスの合唱曲を歌っている少年合唱団の少年たちと、天正時代の少年たちが時間と空間をこえ音楽でつながる。合唱団の少年たちが歌っていたクレマン・ジャヌカンの「鳥の歌」、ジョスカン・デ・プレの「千々の悲しみ」、「花咲く頃に生きるかぎり(本文中では青春時代に生きているかぎり)」などは私もよく聴き知っている曲なので親しみを覚えた。サカラメンタ提要のグレゴリオ聖歌、隠れキリシタンのオラショ、と児童書にしてはかなり突っこんだことに触れられていて児童書でこのような物語が書かれたことにちょっと驚いた。2022/08/18
HISA
1
☆☆少年合唱団の話は初めてだったので新鮮だった。2021/02/09