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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
49
イタリアの島の夏。「わたし」と親友の少女イソラの10歳の数々の物語。「悪童日記」を読んだような感覚。きれいはきたない、きたないはきれい。最初から最後まで汚物や閉塞感に包まれた話なのにどうしてこんなに瑞々しいのか。飾らない夏。こんな日常でも「わたし」とイソラの日々は続いていく。不思議と詩的で、何処か強烈。2025/06/13
ヘラジカ
38
爽やかで可愛らしい表紙絵に反して作品内容は荒々しく、幼稚で、お下劣。そして溢れんばかりの生命力に満ちている。『悪童日記』を髣髴とさせるが、この作品の剥き出し感はその比ではない。幼い少女が語る破滅的な日常と友情は、汚物と未熟な性による原色で彩られていて、そのまま彼女たちの世界観をVRで体験しているようだ。それぞれのエピソードもいちいち強烈。恐ろしくヴィヴィッド。終始めちゃくちゃで下品なのに、時たま煌めくような詩情も見えるのが巧いな。解説でフェルナンダ・メルチョールの影響を受けていると知って納得した。2025/05/19
おすし
17
女の子って可愛くてキレイでいいにおいがして、百合ってイイヨナ!…などという幻想は木っ端微塵ダヨw こういうの大好き!!生きているんだからね汚いしクサイしキモイじゃん、あたり前田のクラッカーよ。10歳の女の子ふたりのほんのちびっと歪な友情。あっけらかんと振舞っているようでも子供ながらにいろいろ抱えててうっすら死のイメージも漂う。お尻にくい込んだパンティを引っぱる描写が何度もあるのは新しいのを買ってもらえないからか…とか笑ってばかりでは読めない面もあり、でも笑っちゃう。汚っこいのにキラキラでとても眩しい。2025/06/29
沙智
4
変な本すぎる。とにかく汚いし、登場人物全員異常に口が悪い。どうしようもない2人の夏の戯れについての話だけど、閉塞的な島の情景が妙に印象に残る小説でもあった。子供達は壁に囲われて生きていく。情報処理センターのエピソードが最悪すぎて笑う。2025/05/19
八神きみどり
1
『決壊する文体』という強烈なキャッチコピーに誘引された本作、文体が決壊する瞬間そんなにない割に読みやすい!みたいな不満が無いでも無いが、少女同士の友情をこういう切り口で描き切ったのは素直に賞賛に値する。面白かったし、終始くちの中に砂利が入り込むような苦い展開の連続に、良い作品を読んだ後特有の現実を侵食する余韻がある。僕にも僕の百合論があるし、この作品を百合的に解釈することが正しいとは思えないが、これは間違いなく百合。とはいえ半身とも呼べるイソラを失ったわたしの今後はちょっと想像を絶しているよなと強く思う。2025/06/29