出版社内容情報
時代も場所もまったく異なる文学作品たちをつなぐテーマは〈12か月〉――12か月のうちの〈7月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。
四季をあじわい、あの作品といま同じ季節を生きるよろこびをつくる本。
シリーズ全12巻。
装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)
【編者紹介】
西崎憲
翻訳家、作家、アンソロジスト。訳書にコッパード『郵便局と蛇』、『ヘミングウェイ短篇集』、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』、『蕃東国年代記』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』『本の幽霊』など。フラワーしげる名義で歌集『ビットとデシベル』『世界学校』。電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。
【著者紹介】
長野まゆみ
東京生れ。1988年『少年アリス』で文藝賞受賞。2015年『冥途あり』で泉鏡花文学賞、野間文芸賞受賞。『テレヴィジョン・シティ』『猫道楽』『鳩の栖』『箪笥のなか』『チマチマ記』『デカルコマニア』『ささみみささめ』『団地で暮らそう!』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『さくら、うるわし』『カムパネルラ版銀河鉄道の夜』『45°ここだけの話』などがある。 近著は『長野まゆみの偏愛耽美作品集』『ゴッホの犬と耳とひまわり』 公式HP http://www.mimineko.co.jp 公式X(Twitter)耳猫風信社
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
19
一月毎、それぞれの月に関するアンソロジー、七月編。収められているのは読んでいるだけで白々と明けるのが早い明け方の空の涼しさや、蒸し暑い宵の空気などが想像できるような気持ちのいい作品ばかり。翻訳作品にも良いのが多いが、やはり日本人としては季節独特の行事や飲み物食べ物に関連したものに親しみを覚えるなあ。そういう意味でお盆を舞台にした久生十蘭『黄泉から』や鏑木清方『むぎ湯』沢村貞子『ほおずき市』等は絶品。今は失われつつある「季節」という物を濃厚に思い出させてくれる。夏の始まりの爽やかな空気のような一冊でした。2025/07/26
Cinita
11
誕生月なのでとくに楽しみにしていた一冊。今回も面白かった!川端康成「青い海黒い海」は主人公の精神の危ういゆらぎをそのまま追体験させられるようで、すごいもん読んじゃったな……とため息が出た。ボルヘス「あまたの叉路の庭」は迷路のように小説世界がどこまでも分岐するイメージの広がりがすごく好き。川端が悪酔いならこちらは心地よい酩酊感。豊島与志雄「電車停留場」は悪意や義憤が人混みの中で連鎖爆発していく過程がスリリング。昨今のSNSみたいだ。同じく鉄道が舞台の志賀直哉「出来事」は物語の緩急と人物描写が見事。2025/07/24
水蛇
5
長野まゆみの「月の船で行く」、無愛想でユーモラスな掌編だけど初出がJR西日本の広告らしくて身もだえ。いいよねそういうの。機内誌とかもだいすき。あれのために飛行機や新幹線乗ってるところある。そう思って読みなおすとますます暗い海のうすいきらめきが激しかった。「青い海黒い海」「あまたの叉路の庭」「張光熊」「アリスは、落ちながら」など西崎憲お得意の幻想文学色が強め。彼の翻訳で読んで脳天痺れた「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」にもここで再会。無骨なのに舌がもつれそうになる吐露はこの強烈な暑さの7月だから耐えら2025/07/16
モリヤマ リン
2
読み終わった。カーテン越しに見える、木の葉の緑と青空。蝉時雨。冷房が効いた部屋で、クッションに身を任せて読んだ。7月のひと時で、いっぱいの7月を味わった。2025/07/20
雨
1
・月の船で行く ・ほおずき市 ・僕の夏休み2025/07/31
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