感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
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2005年に刊行された自伝 Un Pedigree の全訳。訳者あとがきや資料を除いた本篇だけなら120頁ほどと比較的薄いが読み応えはある。子どもに背を向けて遠ざかっていく親の後ろ姿や、いまではすっかり変わってしまったというパリ6区界隈の様子など、モディアノ作品の中にたびたび登場するモチーフがそこここに顔を出す。少年時代の思い出語りは時に苦しくなるほどの寂しさを感じさせるが、コレットの 『青い麦』を読んだために何日間かの停学処分を受けた…といった読書遍歴やレーモン・クノーとの交流など文学ネタも興味深い。2025/05/26
isbm
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★★☆2025/05/11