内容説明
海辺の家で波の音をかぞえながら日々をおくる精神科医が綴る９つのエッセイ。過去や現在の記憶が、はるかな自然やみずみずしい動植物と奥深く響き合い、悠久の時間のなかで静かな笛を吹くように人生を語る。水墨画による挿絵を多数収録。
目次
姫管巻き擬き
故郷の絵師
空道
蛇
山吹
池
蓮
ツキヤ川
海の庭
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
16
細長い、独特の判型が気になって手に取った。静謐で穏やかな筆致の、和の雰囲気や田舎の空気、古典のかけらのようなものが広がっていくようなエッセイ集。添えられている水墨画がまた美しい。日常を語っているものの、単なる身辺雑記という感じじゃないなと思って著者を確認したら、山陰に住まう精神科医の方だった。本文の中でそんなことを匂わせる箇所は一切なかったけれど、物事を見る視線の冷静さはそこからくるのかなとも思った。美しい本です。2024/07/17
