長距離漫画家の孤独

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5変判/ページ数 168p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784336073617
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0097

内容説明

洗練されたグラフィック・ノヴェルと「ニューヨーカー」誌のカバーで知られ、代表作が映画化(ジャック・オディアール監督『パリ13区』4月22日日本公開)されるなど、いまアメリカで最も活躍している漫画作家エイドリアン・トミネ。彼がいかにして数多の失敗・屈辱・災難を乗り越えてグラフィック・ノヴェリストとして名声を築いたかを、ユーモア溢れるほろ苦いタッチで描く傑作回想録が登場!

著者等紹介

トミネ,エイドリアン[トミネ,エイドリアン] [Tomine,Adrian]
1974年カリフォルニア生まれ。現在ブルックリン在住の日系アメリカ人4世。カリフォルニア大学バークレー校では英文学を専攻。コミック作家として“オプティック・ナーヴ”シリーズを描き続けるかたわら、イラストレーター、アーティストとしても活躍

長澤あかね[ナガサワアカネ]
奈良県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。広告会社に勤務したのち、通訳を経て翻訳者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

104
装幀がモレスキンのノート風。中を見ると方眼紙に繊細なタッチの線で親しみやすい好みの漫画が描かれていた。本作は著者の自伝的物語を綴ったグラフィックノベル。著者は小さい頃から漫画好きで、自ら描き始めてからもその拘りを周りに上手く伝えられなくて傷ついたりと苦い思い出が一杯。名前の発音を間違えられても訂正できない小心さも。でも彼が声を大きく奥さんと自分の立場を主張した時もあった。家族への思い。最後の頁を読んだ時、穏やかで心地よい肯定感に包まれた。人生の長距離走は辛さもあるが積み重ねが今の嬉しさに繋がるのだと思う。2022/05/27

ヘラジカ

55
現在では世界的に名前を知られている漫画家が、そこに至るまでに築いてきた悲痛な思い出の数々を綴った失敗と羞恥の回想録。人生のハイライトの真逆だけを描いたユニークな自伝である。まさしくコミカルなのに笑いよりも不満や孤独感にシンパシーを抱いてしまう。ここまで遠い過去の気まずさを鮮明に再現できるなんて、どれだけ夜寝る前に布団のなかで輾転反側しながら反芻したのだろう……。その部分まで想像して微笑ましいような物悲しいような気分に浸ってしまった。今年のベスト入り確定の傑作。装丁も素晴らしい本なので大事にしたい。2022/05/18

こうすけ

29
最高でした。哀しすぎて笑えて仕方ない。ウディ・アレンの映画を見たときのような気持ち。絵も良いし、装丁も素晴らしい。数あるグラフィック・ノベルのなかでも、かなり面白くて読みやすい。成功とか有名になるとかじゃなくて、コツコツ地道に真面目に、人を傷つけずに生きよう、という気持ちになれる。会う人みんなにすすめたい。2022/05/23

かんやん

27
漫画家として成功した著者の、もの悲しくてクスッとするようなメモワールで、私漫画といった趣き。コミコンで面罵され、辛辣な批評に傷つき、サイン会はガラガラ、レストランの客が隣に作者がいるとも気づかず作品を酷評など、トホホなエピソードが満載。その影に人生の重大イベントがさりげなく。作品をつくって世に問う人は、本当に孤独だなあ。「漫画を描いたり読んだり、漫画のことを考えるのに、人生のどれほど多くを費やしてきたことか」結婚して子どもを授かってもね、やっぱり孤独なんだろうなと思う。2023/05/08

ぐうぐう

27
以前、『サマーブロンド』のレビューにこう書いた。「閉じることに抗うかのような結末は、同時に読み終わることの不可能性を読者に告げている。読者の胸の内に、社会に、あるいは世界そのものにおいて、トミネの漫画は続いていくのだ」幼い頃から現在に至るまでのトミネの可笑しくもせつないエピソードを回想した『長距離漫画家の孤独』が、そのラストにおいて漫画に還っていく展開を目にして、『サマーブロンド』で覚えた感想が正しかったことに嬉しくなる。カラ回った、自意識過剰気味の滑稽なエピソードは、(つづく)2022/06/11

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19593444
  • ご注意事項