内容説明
名翻訳家のライフワークである「ユーモア・スケッチ」ものを全4巻に集大成。第2弾は『ユーモア・スケッチ傑作展2』(全32篇)+単行本未収録作品12篇。
目次
透明人間の手記(コーリイ・フォード)
ひとりものの朝食考(フランク・サリヴァン)
わたしはこうして亭主関白になった(アート・バックウォルド)
スケート再訪(ロバート・ベンチリー)
人生の鍵(E・B・ホワイト)
もし男が女のようにポーカーをしたら(ジョージ・S・コーフマン)
紋切型博士、恋を語る(フランク・サリヴァン)
紋切型博士、バカンスを語る(フランク・サリヴァン)
エンサイクロペディア国の恋(ロバート・ベンチリー)
J・D・サリンジャーとは何者?(H・アレン・スミス)〔ほか〕
著者等紹介
浅倉久志[アサクラヒサシ]
1930年生。英米文学翻訳家。50年大阪外国語大学卒。2010年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
15
ユーモア、と区切られているものの、その内実はバラエティ豊かで一筋縄ではいかない。正直、よく分からない物もあれば、上質なエッセイと思える物もある。「もし男が女のようにポーカーをしたら」は現代なら正しい内容ではないと怒られてしまいそうだけど(そしてそんな風に怒られそうな作品は他にもいろいろあるのだけど)わたしは笑ってしまった。それはもちろん「女が男のように女子会をしたら」でも成り立つ展開だと思うからだ。楽しい一冊でした。2022/06/22
Inzaghico (Etsuko Oshita)
10
第三室の旅にまつわるユーモア・スケッチには笑った。アート・バックウォルドの「実用新案 観光日記」は、ほとんどすでに文章になっていて、固有名詞や台詞のところを埋めれば一丁あがり。旅先で会いたくもないのに会ってしまう知り合いの夫婦とか、妻からからの命令とか、すべて記入可能になっている(笑)。フランク・サリヴァンの「鈍行列車」は、遊びに来ていた幼い孫が帰るのに付き添っているおばあちゃんが、持参の卵をぜったいに触らせないという攻防戦に突入。ハラハラドキドキ、ワハハハグフフフの果てに目的地に到着。勝敗はどちらに笑。2023/01/23
スターライト
9
浅倉久志がユーモア・スケッチと名付けた、ユーモアとナンセンス、時にブラックな味わいを持つ作品を集成した第2巻。1920年代がアメリカのユーモリストが活躍した黄金時代とのことで、それらの作家が腕によりをかけた作品が並ぶ。冒頭から最後まで話が脱線しているものもあれば、シリアスな展開が続きそのままラストを迎えると思ったとたん、最後に痛烈な笑いの一撃を読者に食わせるものなどバラエティー豊か。イギリス作家を集めた展示室の「書斎に死体が…」と「英国人入門」あたりが好み。特に後者は大陸と英国の比較が面白く楽しめた。2022/02/17