内容説明
イラストレーター・グラフィックデザイナーとして活躍し、さらにエッセイスト・映画監督・作曲家など多彩な顔をもつ和田誠(1936‐2019)の代表作にして、映画エッセイの名著が愛蔵版で復活!記憶に残る“映画の名セリフ”をイラストレーションとともに紹介する本シリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年のあいだ断続的に連載され、全7巻の単行本にまとまり長年映画ファンに愛されてきた。今回オリジナルのまま再現した本体を函に入れた特別仕様で復刊、各巻に書き下ろしエッセイを掲載した栞を付す。
目次
オースン・ウェルズ
脱出
イースター・パレード
美女と野獣
フランソワ・トリュフォー
隣の女
山猫
赤い影
ドナルド・サザランド
針の眼〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
36
4巻目ともなると、少しスタイルに変化が見られる。映画の中のセリフに限って紹介していたのが、俳優や監督へのインタビューでの、もしくは著作からの言葉を引用することも多くなっていく。トリュフォーがインタビュアーの「あなたの映画には三角関係がよくあるが、それがいちばん恋愛映画の題材になりやすいか」との問いに「列車が定刻どおりに到着してもニュースにならない。列車が脱線したらニュースになる。ニュースにもドラマは必要なわけです」と答えていて、面白い。(つづく)2022/05/20
ゴールドまであと938日
30
知らない映画や俳優、ごく稀に、知った俳優がでてくる。やはり映画を観てないと、この本に書いてあることに共感できない。映画も時代に連れて変わっていく。もう年取ったか、死んだ人、あるいは世界情勢が変わって、しらける時代背景もある。映画は、その時代と人に連れられる。歴史は、時代が変わっても、生きている、参考になる。いまの状況は過去からの連続だからだ。映画は、そのとき、そのときの考え方、歴史、生活などを反映しているから、そのときは生きている。それだけに陳腐化しやすい。社会から外れていても、その社会を観察しておこう。2022/10/30
まさ☆( ^ω^ )♬
8
PART4は、80年代中盤くらいの時期に書かれたもので、段々と知ってる映画が出てくるので、より面白さが増して来た。相変わらず古い映画は知らない(知ってても観た事がない)ので、共感はし難いが、純粋にエッセイとして楽しいので全く問題ない。イラストを見て楽しめもするしね。PART5に進みます。2023/06/11
うぼん
0
ベトナム戦争肯定の「グリーン・ベレー」は、まあ酷い映画だったが、ジョン・ウェインには、映画の暴力はイリュージョンであり流血表現は不快だと言う映画観もあった。真っ当なリベラルの著者はウェインを右翼だと簡単に決めつけず、良くも悪くもアメリカの民主主義を信じて疑わなかった(単純な善意の)人だと冷静に考察する。黒人の生存権も平等に守られるべきだが彼らが感情でなく知性で考え行動できるようになるまで政治は渡せないというウェインの人種差別観に信憑性を与えてしまうような毒薬DEIの悪用が、50年後の欧米で始まっている。2024/09/07