内容説明
大伯父カッサーヴの奇妙な遺言に従い、莫大な遺産の相続と引き換えに“マルペルチュイ”館に住まうこととなった一族の者たち。幽囚のごとき彼らが享楽と色恋に耽る一方、屋敷の暗闇には奇怪な存在がひそかに蠢き、やがて、住人たちが消える不可解な事件が立て続けに起こる。一族の若き青年ジャン=ジャックはこの呪われた館を探索し、襲い来る幾重もの怖ろしい出来事の果てに、カッサーヴの末裔たちが抱える驚くべき秘密と真実に辿り着く…満を持して新訳となる、ジャン・レーの代表作にして、『ゴーメンガースト』『アルゴールの城』に比肩する現代ゴシック・ファンタジーの最高傑作『マルペルチュイ 不思議な家の物語』。中世騎士の義手が引き起こす怪、ディー博士の魔術道具の呪い、怪鳥ヴュルクとの凄絶な戦い…幾重もの恐怖の輪が環をなす、収録11篇中10篇が本邦初訳の、父が愛娘に語る枠物語的怪奇譚集『恐怖の輪 リュリュに語る怖いお話』。自動人形に宿った死刑囚の魂の怪、顕微鏡の中に現れた小さな老人の化物、奇妙な逃亡呪術を用いる殺人犯を追う刑事…収録全16篇が本邦初紹介となる、ジョン・フランダース名義のオランダ語怪奇幻想・SF・ミステリ短篇集『四次元幻想物語集』。飽くなき生への歓喜と病的でグロテスクな想像力を混淆し、幻怪で濃密な文体によって独自の世界を創造し、“ベルギー幻想派の最高峰”と目されるジャン・レー/ジョン・フランダースの絶頂期の精華を集大成した、待望の決定版作品集!
著者等紹介
レー,ジャン[レー,ジャン] [Ray,Jean]
1887年、ベルギー王国ヘント生まれ。本名レーモン・ジャン・マリ・ド・クレメール。市の職員として勤める傍ら雑誌に作品を投稿、1919年からはジャーナリスト、作家に身を投じる。1925年にラヴクラフト風の短篇「パウケンシュラーガー博士の異常な研究」を含む『ウイスキー奇譚集』を出版して世に認められるようになる。現代ゴシック・ファンタジーの最高傑作『マルペルチュイ』(1943)をはじめ、怪奇幻想・SF・探偵小説の分野で数々の作品を残す。ジャン・レーをはじめ多くのペンネームを用いたフランス語での創作の他、オランダ語作品も主にジョン・フランダース名義で多数執筆。“ベルギー幻想派”の最高峰と目されている。1964年逝去。死後、その功績を讃えて「ジャン・レー文学賞」が創設された
岩本和子[イワモトカズコ]
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1959年島根県大田市生まれ。専攻はフランス語圏文学・芸術文化論(主にベルギーのフランス語文学、スタンダール研究)。博士(文学)
井内千紗[イノウチチサ]
拓殖大学商学部助教。兵庫県生まれ。専攻は地域文化研究(ベルギー・オランダ語圏)、文化政策、オランダ語文芸翻訳
白田由樹[シラタユキ]
大阪市立大学大学院文学研究科教授。大阪府生まれ。専攻は19世紀末のフランス語圏文化、メディアと女性表象、アール・ヌーヴォーなどに関する研究
原野葉子[ハラノヨウコ]
大阪市立大学大学院文学研究科准教授。1975年広島県広島市生まれ。専攻は20世紀フランス文学(ボリス・ヴィアン研究)。博士(人間・環境学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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