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内容説明
着陸後に消息を絶ったコンドル号の捜索のため琴座の惑星レギス3に降り立ったインヴィンシブル号が発見したのは、廃墟と化した“都市”と、砂漠にめり込んでそそり立つ変わりはてた姿のコンドル号であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!?―ファースト・コンタクト三部作の傑作『砂漠の惑星』のポーランド語原典からの新訳。
著者等紹介
レム,スタニスワフ[レム,スタニスワフ] [Lem,Stanislaw]
旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。多くのSF作品を発表し、SF作家として高い評価を得る。同時に、理論的大著を発表し、70年代以降はメタフィクショナルな作品や文学評論などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、2006年に死去
関口時正[セキグチトキマサ]
1951年、東京都生まれ。東京大学卒。1992年から2013年まで東京外国語大学でポーランド文化を講じた。同大学名誉教授。2021年、ポーランド文学普及・翻訳の顕著な業績に対してThe Polish Book Instituteよりトランスアトランティック賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
27
2021年9月図書刊行会刊。砂漠の惑星の新訳版。1964年発表の話だがアイデアは古びていない。レムらしいファーストコンタクトな物語。装丁が90度回転していて、本文、横書き?と思いましたが、ドッキリデザインだったです。楽しい。2022/02/20
猫路(ねころ)
19
コンドル号の不可解な発見により、ファースト・コンタクトさえ意味をなさないまま、雲が現れた。初めは色々議論はされていたが、見当がつかず。探っていくうちに、無機質な《虫》であり《奴》だと。ロアンは仲間を失い、この砂漠の惑星に何を感じ、求めたのか。この意外性も良い持ち味であって楽しく読ませていただきました。2024/03/14
ふみふみ
18
ファースト・コンタクトSFの傑作です。「ソラリス」程ではないにせよ未知の惑星の建造物、風景描写の異質さは半端なく、加えて<雲>と科学兵器(反物質砲)の壮絶な戦闘シーンの迫力、惑星の生命形態と進化の驚くべき謎(この科学アイデアには仰天しました)、これらが盛り込まれたサスペンスフルなストーリー展開は正にド直球の古典的なSF、いわゆるセンス・オブ・ワンダーってやつですね。ただワンダー(驚異)というよりかフィアー(畏怖)の度合いの方が高いです。2022/09/07
スターライト
13
レム生誕百周年にポーランド語からの初邦訳となった本書は旧訳でも読んでいたのだが、久々に読んでみてあらためて傑作だと感じた。「ラウダの仮説」で進化した機械とされたレギスⅢのこの金属の微小な虫=奴らが、「正常な進化」を遂げた生命体である人間による攻撃を次々と跳ね返し、究極の兵器と思われた巨大機械キュクロプスまで打ち破るシーンは圧巻とともに畏怖さえ感じた。そして艦長との密室でのやりとりの後に、ロアン一人で4人の消息を求めて雨裂谷に向かいながら一連の行動の意味を考える場面には圧倒された。レム、恐るべし。2022/02/28
へ~ジック
11
退屈なほど素直な文体で、正直に言って読むと眠くなってきます。けれどもそれを乗り越えて一文でも読み込めば、脳裏に浮かんでくるのは一面に広がる砂漠の惑星、大空、そしてそこを徘徊する生き物たち。僕は間違いなくそこに居た。そうやって文字と世界の変換作業を続けた末に、気付いてしまったのです。インヴィンシブルとは故郷である。その精神の中央にすっくと立って、敗れ去った挑戦者を迎えて心と魂を休ませる不滅の故郷であることに。2021/12/07