内容説明
オーストリア・シュタイアーマルク州北部に、ヘリアナウという全寮制の学校がある。インディゴ症候群を患う子供たちのための学園だ。この子供たちに接近するものはみな、吐き気、めまい、ひどい頭痛に襲われることになる。新米の数学教師クレメンス・ゼッツはこの学園で教鞭をとるうちに、奇妙な事象に気づく。独特の仮装をした子供たちが次々と、車でどこかに連れ去られていくのだ。ゼッツはこの謎を探りはじめるが、進展のないまますぐに解雇されてしまう。その15年後、新聞はセンセーショナルな刑事裁判を報じる。動物虐待者を残虐な方法で殺害した容疑で逮捕されていた元数学教師が、釈放されたというのだ。その新聞記事を目にした画家のロベルト・テッツェルはかつての教え子として、ゼッツが手を染めたかもしれない犯罪の真相を追いかけていく―軽快な語り口と不気味さが全篇を覆い、独特な仕掛けがさまざまな読みを可能にする。既存の小説の枠組みを破壊して新しい文学の創造を目指した、神童クレメンス・J・ゼッツの野心溢れる傑作長篇。
著者等紹介
ゼッツ,クレメンス・J.[ゼッツ,クレメンスJ.] [Setz,Clemens J.]
1982年オーストリア、グラーツ市生まれ。グラーツ大学では数学とドイツ文学を専攻。在学中より文学活動をはじめ、2007年に小説『息子らと惑星たち』でデビュー。2011年ライプツィヒ・ブックフェア賞、2019年ベルリン文学賞、2020年クライスト賞など数々の主要な文学賞を受賞。小説や短篇集、詩集のほか、演劇や映画の脚本、英米文学、エスペラント語文学の翻訳など多方面で活躍している
犬飼彩乃[イヌカイアヤノ]
愛知県生まれ。東京都立大学人文社会学部助教。専門はドイツ語圏文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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