内容説明
我が国最高の幻想作家・泉鏡花をめぐる、種村季弘の画期的な評論・エッセー・講演録・対談16編を集大成。『泉鏡花集成』の伝統的名解説をはじめ、半数が単行本初収録。小村雪岱による装丁と見返し画。
目次
1(水中花変幻;水辺の女;摩耶夫人三相―鏡花・迷宮・金沢;胎児を孕む化物屋敷―泉鏡花『草迷宮』;泉鏡花―水の迷宮;読みたくなる鏡花)
2 「泉鏡花集成」解説(絵のように美しい物語;悪と温泉;洪水幻想;迷宮の怪;顔のない美女;水源の女神;女と人形;火の女 水の女;三人の女;芸の討入り;ハイカラなピカレスク小説;愛と死の戯れ;魔の山)
3(鏡花再演;言語の受難・言語の解体―三田英彬『泉鏡花の文学』;『海の鳴る時』の宿;三階から上―鏡花の化け物;縮地気妖の怪;玄関のない家)
4(泉鏡花と白山信仰;泉鏡花作品に見るオシラ様;鏡花、彼岸の光明(対談・川上弘美))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
63
碩学による鏡花論をまとめた一冊。装丁や見返しに小村雪岱を使っているあたり実にわかっているなあ。名高いちくま文庫の鏡花集成を編集しただけあり、水やアーキタイプとしての女性、摩耶夫人に白山信仰、オシラ様と多岐に渡り、鏡花集成の解説文に、芝居と対談と充実した内容となっている。鏡花で覚えているのは「高野聖」に「草迷宮」「春昼」等代表作だけで、本書中によく言及されている『山海評判記』等は内容を大部分忘れてしまっているのだが、それでもやはり本書を読むとまた手あたり次第鏡花を読みたくなる。そんな魅力を持った一冊でした。2021/01/02
gibbelin
1
雨の日に読むと、水をくぐった気にさせられますな。2021/04/28
bunca
0
種村季弘×泉鏡花論 面白くないはずはない。 女性像の特徴、水属性の話、高層階への恐怖というのが印象に残った。 本職のドイツ文学の引用部分は理解が難しかったが、それ以外は読みやすい。 川上弘美さんとの対談も面白い。2024/02/20
Shoko
0
種村季弘による泉鏡花論!待ってました~ですね。 泉鏡花を読み直したくなりました。2021/03/18