内容説明
神話の森を舞台に繰り広げられる呪術的マヤ・ファンタジー。
著者等紹介
ペッチ,ホルヘ・ミゲル・ココム[ペッチ,ホルヘミゲルココム] [Pech,Jorge Miguel Cocom]
小説家、詩人、教師。1952年、メキシコ合衆国カンペチェ州カルキニ市に生まれる。カルキニの文学サークル「ヘナリ」創設者の一人。2002年から2005年にはメキシコ先住民作家協会の会長を務める。詩の朗読によって米国ニューヨーク(2016年)などの文学フェスティバルで詩人賞を受賞。2016年には南北アメリカ先住民文学賞を受賞
吉田栄人[ヨシダシゲト]
東北大学大学院国際文化研究科准教授。1960年、熊本県天草に生まれる。専攻はラテンアメリカ民族学、とりわけユカタン・マヤ社会の祭礼や儀礼、伝統医療、言語、文学などに関する研究。著書の他、訳書にソル・ケー・モオ『穢れなき太陽』(水声社、2018年。2019年度日本翻訳家協会翻訳特別賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
29
マヤファンタジーと聞いてぜひ読みたいと思っていた本を書評サイト本が好き!を通じていただいた。2012年にメキシコで児童図書として出版された『マヤの賢人グレゴリオおじいさん』の全訳。おじいさんから受け継いだマヤの伝承と、その中に息づくマヤの人々の人生観を描いた物語であると同時に、語り部としての“ぼく”の成長を描いた物語…そう読み解いたつもりだったが、本編読了後に訳者あとがきを読んだら目から鱗がボロボロと!折に触れ2度3度と読み直してみなくては。2020/07/14
きいち
24
チュッオーラのような、カスタネダのような、遠野物語のような、でもやっぱりかなり独特で、異なる世界へ旅させてくれるマヤの小説。◇語り手として選ばれた主人公が記録する、賢者のおじいちゃんによる修業の過程。でも、文字にするな、じゃなくて、文字にしろ、なのがおもしろい。そして、同じマヤの文化で育ち作家として活動していても、先によんだ同シリーズの『女であるだけで』とは、著者のとった戦い方はまるで違うのだな、当たり前だけれど。◇祖父も知らない鳥の言葉。象徴とか関係なくて、鮮烈。2020/09/12
Porco
15
マヤ流の人間の成長。読みやすくて面白い。2021/12/16
ケニオミ
11
マヤ文化を垣間見ることのできる本でしょうか。何とも幻想的で、感想が難しいです。内容に感心はしましたが、あまりお勧めはしません。2020/08/02
きゅー
10
マヤ語で書かれた幻想小説。起承転結がはっきりしない夢のように、現実か幻か判然としない出来事が次々と起こる。夢と覚醒を繰り返しているような心持ちだ。「トンボは空中を飛び回る色鉛筆」、「雨は水の夢。煙は火の夢」といった象徴的な言葉が印象に残る。少年の「ぼく」の内側で、夢と自由と成長が一体不可分となり、溢れ出ようとしている。表徴を解釈せず、表徴のままに言葉に書き留める。そこには魔術的な言葉の連なり、音の連鎖、溶けて混じり合う意味が生まれる。2021/12/20