十四番線上のハレルヤ

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  • サイズ 46判/ページ数 328p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336062758
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

夢と現が交錯する、奇妙でノスタルジックな幻想譚「ラヅカリカヅラの夢」「補陀落葵の間」ほか全6篇を収録。西崎憲・東雅夫推薦!!宵闇の四つ辻、季節はずれの祭囃子、遠い記憶の手触り――夢と現が交錯する、奇妙でノスタルジックな幻想譚「ラヅカリカヅラの夢」「補陀落葵の間」ほか全6篇を収録。西崎憲・東雅夫推薦!! 装画:椎木かなえ 装幀:コバヤシタケシ
[推薦のことば]
●西崎憲(作家・翻訳家・アンソロジスト)
いつのまにか文中の風景を歩いている。本のなかの路地を歩き、家並みの隙間から空を眺める。本のなかには人もいて、隣にすわった少女が絵を見せてくれる。そしてどこが間違っているか指摘しろと云う。わたしには分からない。なにしろその間違い探しの絵は一枚しかないのだ。もう一枚はどこにあるか訊こうと顔をあげるが少女の姿はもうない――ずっと前からこういう小説が現れることをわたしは予期していた。そしてようやくいま作者の名前を突きとめた。大濱普美子。
●東雅夫(アンソロジスト)
巻頭の「ラヅカリカヅラの夢」から一気に惹きこまれた。萩原朔太郎「猫町」や佐藤春夫「美しい町」を想起しながら、市井の人々と人ならざるモノが物憂げに共棲する尽(すが)れた幻想市街図を堪能した。要するに、澁澤龍彦のいう「幾何学的精神」が、大濱普美子の小説には躍如としているのである。

ラヅカリカヅラの夢
補陀落葵の間
十四番線上のハレルヤ
鬼百合の立つところ
サクラ散る散るスミレ咲く
劣化ボタン

大濱普美子[オオハマフミコ]
著・文・その他

内容説明

宵闇の四つ辻、季節はずれの祭囃子、遠い記憶の手触り―奇妙でノスタルジックな幻想譚6篇を収録。

著者等紹介

大濱普美子[オオハマフミコ]
1958年、東京生まれ。1980年、慶応義塾大学文学部文学科フランス文学専攻卒。1987年、パリ第七大学“外国語としてのフランス語”修士課程修了。1995年よりドイツ在住。2013年、初の単行本『たけこのぞう』を国書刊行会より刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

23
著者の来歴から多和田葉子らしさを探してしまったが、それほど言葉を弄ぶようなことはなく、倉橋由美子ほどの怨念もない。山尾悠子ほど幻想性は強くないけど、同じレーベルで出ているからどうしても比べてしまいがち。植物のように自らの意思とは関係なく人間として存在してしまった語り手たちは、赴くがままに呼吸を続け、赴くがままに行動する。ラストはSFぽいが、他はちょっとカテゴライズしにくい。地味で不穏な小説が読みたい向きにおすすめ。2018/10/24

ruki5894

18
こういう物語が読みたい夜だったので。幻想小説短編6編。映画のように流れていく景色のように。ハレルヤ。 それにしても…この出版社は目が離せない。 2019/02/12

びっぐすとん

15
皆川博子さんがお薦めしていたので図書館になかったのでB.O.で購入。「たけこのぞう」より幻想的で、これは皆川先生好みだわ。皆川さん、山尾悠子さん系統の作品。ちょっと古い時代設定のお話があるかと思えば最新のバーチャル空間のお話もあって、日常とのズレはどの作品にも共通だが、飽きることなく堪能した。「ラズカリカズラの夢」「歩陀落葵の間」が特に幻想的で好み。寡作のようだがこれからも作品が出れば読んでいきたい。2021/10/30

ハルバル

15
巻頭の「ラヅカリカヅラの夢」がなんとも掴み所のない話とやや苦手な文体で戸惑い「これは合わないかも…」と思ったが(海のそばの寂れた田舎町という雰囲気は良い)、次の「補陀落葵の間」の死者である大伯母含めた三世代を縫う語りに引き込まれてからの表題作で印象は傑作に。「鬼百合の立つところ」は思いを寄せていた男性との想い出はどこまでが現実と妄想なのか。死後の世界は現実との往還で少しずつねじれていく。「劣化ボタン」はVRの発達した未来が舞台だが、想像は腐食の果てまで延びていくのが不思議な読み心地だった。2018/10/11

りー

15
キャラクターやエピソード、ないしは出来事を描くためにある小説ではなく、この「現実とは少し異なる世界の、その空気感」を描くために物語があり、登場人物があり、そして出来事があるという印象を受けた。どれも静かで劇的でなく、しかしどの作品にも同じ世界が根底としてあるような、読みやすいのだけれどその実極めて抽象度の高い幻想小説だった。皆川博子や澁澤龍彦ら日本の幻想小説好きな方はぜひ。2018/07/31

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