内容説明
パルテノン・フリーズの一枚の石板に残る微かな痕跡。それは女神アテナの祭礼に臨席している愛と美の女神アフロディテの指。まさしくその彼女の左人差し指の先端が、その先端だけが、奇しくも石板に残っている。その左脇には母の膝に手をおいたエロスがもたれるようにして日傘をさして立っている。彼女は息子に祭礼の先頭を歩む乙女の行列を指差している―なぜエロスは日傘を持っているのか?アフロディテは誰を指差しているのか?そこからヒストリーのなかのストーリーが立ち上がる。ギリシア美術の白眉、パルテノン彫刻に秘められた謎を読み解く。図版約180点収録。
目次
パルテノン彫刻の変遷と新旧アクロポリス美術館
気になる素描
「愛」に選ばれし乙女(アフロディテの指先;エロスの日傘;迂回の物語;マイ・ショート・ストーリー―既視感から生まれた物語)
著者等紹介
篠塚千惠子[シノズカチエコ]
1948年大分県生まれ。武蔵野美術大学教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。横浜美術短期大学、東北芸術工科大学を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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