内容説明
トラウマのサバイバーたちへ。どのように傷つけられても、人はその痛みを克服し、立ちあがることができる。家族によって加えられた残酷で不幸な性的虐待にもかかわらず、著者が生きのびてきた物語は心を打ち、我々すべてを励ます。
目次
第1部 生き抜くための忘却
第2部 暗闇から見えてきたこと
第3部 開かれたドア
第4部 逃げないことを学ぶ
著者等紹介
トゥルヒーヨ,オルガ・R.[トゥルヒーヨ,オルガR.] [Trujillo,Olga R.]
幼少期から十代にかけて、父や兄から性虐待を受け、DID(解離性同一性障害)を発症。自分が細かく分かれて存在している感覚が長く続き、人との信頼関係を築くのが難しかった。その後、よきパートナーを得て回復。「ジェンダーにもとづく暴力(女性に対する暴力)」防止の社会活動に立ち上がり、弁護士としてDV、子どもの虐待、性暴力被害、そしてトラウマの影響に関する取り組みに関わる。世界各地で講演会を開き、数々の栄誉ある賞を受賞。DIDを抱える多くの仲間のために、DIDへの理解をすすめようと取り組む
伊藤淑子[イトウヨシコ]
大正大学文学部教授。著書の他、訳書もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
17
家族からの虐待によって解離性同一障害を発症した著者による生々しい記録。正直に言って、まともに読むこともできないようなひどい虐待体験が描写されているので、斜め読みした部分もありました。しかし、その影響と回復の記録は、それだけの圧倒的なリアリティと読みごたえがあります。ただ、この本と誠実に向かい合うにはそれなりのエネルギーが必要かと。苦しかった。2018/08/16
ぽけっとももんが
9
オルガは強い。彼女が生き抜いてくれて、彼女の辛く困難な体験を語ってくれて、どれだけの人が救われたことだろう。彼女の家族は最悪だが、それを罵るには言葉が足りない。オルガは自分を守るために、どんどん新しい「わたし」を作り出し、それが彼女を絶望的な日々から救うのだけれども、痛みを全て引き受けてしまうことで継続的な記憶はなくなり、結局誰かに助けを求めることもできなくなる。でも幼いオルガに、他になにができただろう。ありがちな「多重人格もの」とは違う、リアルな叫び声が聞こえる。2018/01/07
hideko
1
虐待の影響の果てしなさと、私達にも出来るの事のある希望。 人は人中で変われる。2017/12/18