火の書

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  • サイズ 46判/ページ数 299p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336061751
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C0097

内容説明

生誕130年を迎えた、ポーランド随一の狂気的恐怖小説家ステファン・グラビンスキによる怪奇幻想作品集。“火”をテーマとする短篇小説と、自伝的エッセイ、インタビューを収録。目眩めく紅蓮色の怪夢、病み憑きの陶酔と惑乱の書。

著者等紹介

グラビンスキ,ステファン[グラビンスキ,ステファン] [Grabi´nski,Stefan]
1887年、オーストリア=ハンガリー帝国領ガリツィア・ロドメリア王国のカミョンカ・ストルミウォーヴァに生まれる。ルヴフ大学でポーランド文学と古典文献学を学び、在学中に作家デビューするが、卒業後は教職に就く。1918年に短篇集『薔薇の丘にて』、1919年に連作短篇集『動きの悪魔』を発表し注目を浴びる。ポーランド文学史上ほぼ唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家。1936年に死去

芝田文乃[シバタアヤノ]
1964年、神奈川生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家、エディトリアル・デザイナー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

吉田あや

83
時に激しく、時に優しく、揺らめきながら手招きをし、人を惑わす化身となり、意思を持ち、とろりとした溶岩のように質感と質量をもって、狂気と清らかさを見せるグラビンスキの炎たち。華開き、狂い咲き、燃やし尽くし、闇をも生む、それぞれの火への偏愛は、本書カバーの焼き印の如く、深く鋭く心の中に刻印される。怪奇と幻想が渾然一体となり、もっと奥深い処まで辿り着きたいと酩酊するように、幻惑と真理をゆらゆらと揺蕩い、陶酔の中で本質を見せようとしてくれる、圧倒的短編集。2017/09/28

HANA

66
「火」をテーマにした恐怖小説集。火は現実でも精神の中でもこの世ならぬ場所でも燃え盛っている。冒頭のファム・ファタル「赤いマグダ」で直接的な描写が多いのかと思ったが、意外と狂気に関する作品が多いのも特徴。特に「火事場」とか、因縁ある場所に引っ越してきた家族という内容から、そういう方向に行くのか。と楽しく読めました。あと著者自身による作品の完成までを追ったエッセイとか、次作の評価。インタビューとこちらも内容が豊か。後、ある作品を読み終えて、初めて表紙に込められた意味に気付きました。なんというセンスのある表紙。2017/10/05

いちろく

42
紹介していただいた本。火にまつわる9篇の幻想譚。人の精神的な変化だけでなく、精霊という幻想的な要素も深く関わる話もあり、独特な世界観に繋がっている印象。訳者のおかげもあるのか作品自体は読みやすく、例えるなら20世紀前半を舞台にした海外版世にも奇妙な物語を読んでいる様な感覚があった。当時のポーランドの世相や流行等の背景に詳しければ、より楽しめたと思われる内容でもある点は、悔しい部分もある。読了後に表紙を見返すと感慨深くなるのも特徴の一つかと。2020/01/26

星落秋風五丈原

41
鉄道、狂気と恐怖の根源を取り上げてきたグラビンスキの短編集がテーマに据えたのは火。表紙は深紅に手形。さて、なぜ手形?(答えは本書で)中の頁は白と黒。各話のタイトルが書かれた頁の裏は真っ黒。まるで火が燃えた後に残る黒い炭のようだ。娘と父、どちらかが倒れるまで続く戦いを描く「炎のマグダ」映画『炎の少女チャ―リ―』みたいですな。「白いメガネザル」見た事がない作家がメガネザルを書くとこうなるのか。炎=情熱のままでいればよかったのにそのまま狂気に突き進んでしまった、ある意味主人公の自業自得とも言える「炎の結婚式」 2017/09/23

おおた

30
ひとりの作家がこれほど火に関する短篇を書くというのは不思議な感じ。列車に関する短編集もあるくらいだから、何かをテーマにすることが多いのだろうか。東欧は漠然と石造りの家が多いように思っていたが、日本同様に火事になったら家が燃え、消防士が出動する。消防士と炎にまつわる物語が対峙する視点が明確なので力強く印象に残った。作品自体は幻想譚で片付けられてしまいそうなのだけど、テーマへのこだわりや神秘主義への傾倒など、形だけではない執念を感じさせる。他の本も読んで作者の全体像を掴みたくなる感じ、ちょっと久しぶりかも。2017/09/23

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