出版社内容情報
日本近代有数の美術コレクター原三溪。その作品蒐集と美術家支援の実相や、日本近代美術史の展開に果たした意義を論じた画期的論考。 日本近代有数の美術コレクター、芸術のパトロンであった原富太郎(号・三溪、1868?1939)。自筆史料「美術品買入覚」(「買入覚」、三溪園保勝会蔵、全5巻、記載作品は4千百余点)など貴重な一次資料を精細に読み解き、三溪が美術の蒐集と美術家支援にいかに関与し、日本の近代美術史の展開にいかなる意義を有するものであったかを論じる。また、同じく古美術蒐集と芸術家支援を行い三溪とも関わりのあった細川護立との比較、今村紫紅《護花鈴》、安田靫彦《夢殿》の作品論などにより、三溪の活動の特質を複層的に明らかにする。従来の美術史研究では看過されてきたコレクター、パトロン研究を正面から取り上げた画期的論考。
三上美和[ ミカミミワ ]
1971年、東京都生まれ。2006年、学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位修得満期退学。博士(哲学)。東京国立近代美術館工芸課客員研究員(2006年?2010年)、京都造形芸術大学通信教育部芸術学科専任講師(2010年)を経て、現在、京都造形芸術大学通信教育部芸術学科准教授。
主要論文に、「今村紫紅筆『護花鈴』試論―成立過程と文化史的背景をめぐって―」(『美術史』第159冊、2005年)、「富本憲吉の初期色絵作品と大原孫三郎の後援について」(『東京国立近代美術館研究紀要』第19号、2007年)、「安田靫彦筆《夢殿》?明治期聖徳太子顕彰を手掛かりに?」(『美術史』第167冊、2009年)などがある。
内容説明
日本近代有数の美術コレクター、芸術のパトロンであった原三溪。その作品蒐集と美術家支援の実相や日本近代美術史の展開に果たした意義について、自筆の「美術品買入覚」など貴重な一次資料を駆使して詳細に論じる。
目次
第1章 「買入覚」にみる原三溪の古美術蒐集(「買入覚」の概要とコレクションの形成過程;原三溪の文人趣味とその変容;明治期の「美術」と原三渓;茶の湯道具の蒐集と展観―益田孝(鈍翁)の影響
「買入覚」にみる宗達・光琳再評価)
第2章 原三溪の近代美術蒐集―近代美術の愛好者として(原三溪旧蔵近代美術コレクションの概要と初期の特徴―明治二十六年‐同四十年;支援の始まりとコレクションの充実―明治四十一年‐大正七年;支援と購入の終焉(大正八年‐昭和六年))
第3章 原三溪の美術家支援(原三溪の美術家支援の意義―官展との比較;新進作家への支援の再検討)
第4章 原三溪旧蔵近代日本画の研究(今村紫紅筆『護花鈴』―図像の源泉と文化史的背景をめぐって;安田靫彦筆『夢殿』―明治期の聖徳太子顕彰を手掛かりに)
第5章 次世代のパトロンと原三溪(原三溪と細川護立の美術蒐集―近代工芸との関わりを中心に;次世代の支援者―大原孫三郎、大原總一郎、原善一郎)
著者等紹介
三上美和[ミカミミワ]
1971年、東京都生まれ。2006年、学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(哲学)。専門は日本美術史・工芸史。東京国立近代美術館工芸課客員研究員などを経て、京都造形芸術大学芸術学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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