内容説明
優雅の化身とあがめられる美貌の御息所と高徳の老僧の恋の物語「志賀寺上人の恋」。死後の霊とのかかわりを描く「死者の書」。妖しいラヴレターが次々と波瀾を巻き起す恐怖小説「人生恐怖図」。金魚と老作家の会話でできた超現実的な小説「蜜のあはれ」。他全31編。
目次
三島由紀夫・橋本治編(中世に於ける一殺人常用者の遺せる哲学的日記の抜萃;志賀寺上人の恋 ほか)
川端康成・橋本治編(十六歳の日記;篝火 ほか)
正宗白鳥・松山俊太郎編(妖怪画;冷涙 ほか)
室生犀星・矢川澄子編(蜜のあはれ;愛魚詩篇 ほか)
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年生れ。作家
松山俊太郎[マツヤマシュンタロウ]
1930年生れ。2014年没。インド学研究家
矢川澄子[ヤガワスミコ]
1930年生れ。2002年没。詩人・作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
26
日本の小説家にとって幻想文学とは、基本的に「死」をめぐる物語になるのだろう。「死」という現象、行為、あるいは「死」への考察や想いですら、幻想を想起させる。それは、「死」が現実的な問題であることを逆説的に照らしてもいるのだ。編者である橋本治の解説によれば、川端康成は若くして「生」を捨てたことで、「死」の世界に属すことができ、だからこそ数々の幻想文学を書くことができた。と同時に、川端にとって「死」は現実そのものであり、晩年の彼の自害は、橋本によると「遂に出会えた最も懐かしいもの」となるが、(つづく)2017/12/02
ハルト
1
読了:◎2019/02/26
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