新編 日本幻想文学集成〈1〉安部公房・倉橋由美子・中井英夫・日影丈吉

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新編 日本幻想文学集成〈1〉安部公房・倉橋由美子・中井英夫・日影丈吉

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  • サイズ A5判/ページ数 756p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784336060266
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0393

出版社内容情報

幻視の作家たちの特質をあますところなく伝える、ユニークな文学全集!虚構の論理で異世界を捏造した現代の4作家を収録した増補巻。幻視の作家たちが備える幻想の特質をあますところなく伝える、ユニークな文学全集! 明治以降現代までの物故作家の中から、幻想文学の小説家として重要な作家を選出し、全33巻構成で集大成した《日本幻想文学集成》。その旧版を4ないし5作家ごとに1冊にまとめ、さらに新たな作家4人を追加した増補巻1巻とあわせた全9巻を《新編》として刊行いたします。 計13人の編纂者が各作家を担当する責任編纂制で、文庫等に未収録の埋もれた名品、知られざる傑作も数多く収め、また、各巻には編纂者による斬新な解説も収録。

●安部公房 [1924-93]
安藤礼二編
ふしぎな植物に変身したコモン君の話「デンドロカカリヤ」(初出雑誌版)。奇妙な味の恐怖小説「家」。文明批評的SF「鉛の卵」。『砂の女』の原型作品「チチンデラ ヤパナ」。ほか、「カーブの向う」「詩人の生涯」「ユープケッチャ」の全7編の小説。言語論の極北「クレオールの魂」と「砂漠の思想」の2評論も併録。

●倉橋由美子[1935-2005] 
山尾悠子編
KとLの眼の前で卵から生まれた両性具有者は内部に暗黒の宇宙を孕んでいた……(「宇宙人」)。内側へ内側へと下降螺旋をえがく寂滅の図書館の幻想「ある老人の図書館」。ほか、「囚人」「夢のなかの街」「隊商宿」「白い髪の童女」「虫になつたザムザの話」「アポロンの首」等全10編。

●中井英夫[1922-93]
高原英理編
世界一小さな密室に閉じこもる少年たちと月光魔人の話「卵の王子たち」。中世趣味・ゴシック嗜好が横溢する「薔薇の縛め」。現代から昭和初期へと逆流する時間を描く「星の砕片」。ほか、「火星植物園」「影の舞踏会」「薔薇の獄」「薔人」「幻戯」「日蝕の子ら」「銃器店へ」「夕映少年」等全14編。

●日影丈吉 [1908-91]
諏訪哲史編
破格のグロテスクと狂ったユーモアが全編を覆う「ある生長」。南仏の架空の町ヨンの時計塔を舞台にした「猫の泉」。怪談「浮き草」。ほか、「屋根の下の気象」「墓碣市民」「山姫」「こわい家」「壁の男」「さんどりよんの唾」「硝子の章」「かぜひき」「角の家」等全15編。

安部公房[ アベコウボウ ]

倉橋由美子[クラハシユミコ]

中井英夫[ナカイヒデオ]

日影丈吉[ヒカゲジョウキチ]

安藤礼二[アンドウレイジ]

山尾悠子[ヤマオユウコ]

高原英理[ タカハラエリ ]

諏訪哲史[スワテツシ]

内容説明

ふしぎな植物に変身したコモン君の話「デンドロカカリヤ」。内側へ内側へと下降螺旋をえがく寂滅の図書館の幻想「ある老人の図書館」。世界一小さな密室に閉じこもる少年たちと月光魔人の話「卵の王子たち」。南仏の架空の町ヨンの時計塔を舞台にした「猫の泉」。他全48編。

目次

安部公房 安藤礼二編(デンドロカカリヤ「雑誌「表現」版」;詩人の生涯 ほか)
倉橋由美子 山尾悠子編(貝のなか;囚人 ほか)
中井英夫 高原英理編(火星植物園;影の舞踏会 ほか)
日影丈吉 諏訪哲史編(かぜひき;屋根の下の気象 ほか)

著者等紹介

安藤礼二[アンドウレイジ]
1967年生れ。文芸評論家

山尾悠子[ヤマオユウコ]
1955年生れ。作家

高原英理[タカハラエイリ]
1959年生れ。作家・文芸評論家

諏訪哲史[スワテツシ]
1969年生れ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

77
図書館でこの豪華な本を見つけた時の喜びは忘れまい。ラインナップや解説陣も幻想小説ファンには垂涎モノ。安部公房は長編数冊しか読んでいなかったが、詳しくも何所か地に足ついていないような生活描写の中で実存性を問う作品が特色なのだと気づく。「鉛の卵」が好き。『チチンデラ ヤパラ』を読んで再び、『砂の女』を読みたいと思ったし、『トラウマ映画館』でも紹介されていたカイヤット監督の『眼には眼を』が随筆「砂漠の思想」にも紹介されていて吃驚。中井英夫は大好きなトランプ奇譚作品が多いが他の作品も少年愛絡みでニヤッとしてしまう2016/08/12

HANA

57
以前は一人一冊だったのだが、この度新編として何人かの作家がテーマごとにまとめられての登場となっている。以前は作家の作風に目が向いたが、今回は幻想文学や小説の形式とは何ぞや、という所に目が向くような気がする。一巻目はそれにふさわしく幻想小説に真正面から斬り渡った作家ばかりで占められている。そこにあるのがシュルレアリスムであろうが、不条理であろうが、反世界であろうが、郷愁であろうが、読んでいる最中どこか別の場所を見ているという感覚が常に付きまとう。幻想文学の醍醐味というものを十分味わわせてくれた一冊であった。2016/08/14

ぐうぐう

21
新編として新たに刊行された『日本幻想文学集成』。第1巻は「幻戯の時空」と題され、安部公房、倉橋由美子、中井英夫、日影丈吉の4作家が収録されている(つまり、4冊の合本)。たまらないラインナップだ。意表さでは、やはり安部公房が飛び抜けている。SFという科学を用いながら、理論を凌駕する幻想を描く公房のダイナミズムに痺れる。後にも先にも、倉橋由美子は倉橋由美子しかいないことを知らしめる孤高に切なくなる。一編を読むと、そのすべてを読んでみたくなる、そんな強烈な欲求を抑えられない。(つづく)2016/08/04

やんも

13
読了にずいぶん時間を要した。新編第1巻ということもあり、旧集成にはなかった四人の作家の作品を四人の作家が選んで収めた1冊。それだけに力が入っており、こんな個性の強い四人の作品を通しで読むことができず、幾冊も寄り道をして読了に至った。安部公房は意外に理が勝つようでフムフムと妙に納得しながら読んでいたが、倉橋由美子のねっとりとした臭いと肉感にとまどい、四人の中でもっとも作品を読んでいる中井英夫で少し落ち着いたと思ったら日影丈吉の境界を揺るがす作品に惑わされた。うーん、あと8巻続くぞ。読み切れるか?2016/12/19

ハルバル

7
私的な好み一等は倉橋由美子で、その硬質な文体の中に宿る生々しさやグロテスクに惹かれた。初期作品は更にぶっ飛んでいて強烈な読み心地。甲乙つけがたく良かったのは意外にも日影丈吉で、以前傑作集を読んだときには然程にも思わなかったのだが、今回はその飄々とした文体が読んでいて心地よかった。私は特にエッセイとも小説ともつかない作品の方が好きで、「ある絵画論」や「壁の男」、「墓偈市民」が特に良かった。他三者がそれぞれ高度に人工的な幻想世界を作っているのに対して、現実と幻想を互いに編み込んで平然としているのが好ましい。2018/02/03

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