出版社内容情報
今年のノーベル賞作家モディアノに関する日本初の本格評論!現代の定かならぬ生と愛の文学世界の全容に迫る。全作品梗概付き。
本年のノーベル文学賞に輝くフランスのユダヤ系作家パトリック・モディアノ。その受賞理由は――「人間の捉えがたい運命を呼び覚まし、ナチス占領下の社会を明らかにした〈記憶の芸術〉」とされた。本書はそうしたモディアノの〈人〉と〈文学〉についての日本初の本格評論! 「私は何者か」「家族とは何か」「占領下パリのユダヤ人」といったテーマを通じ、ミステリー仕立てで、現代の定かならぬ〈生〉と〈愛〉を語り続けるモディアノ世界の全容に迫る。平易な文体でありながら、きわめて洗練された物語世界は、読みはじめたら病みつきになる魅力をもつため、「モディアノ中毒」という言葉もあるほどだ。未訳20作も含めた「全作品梗概」も付す。
第一章 【小伝】自殺した犬~それはわたしだ
自伝としての『血統書』
ジャン・モディアノ
父と母
コンティ河岸15番地
〈記憶〉と〈忘却〉
ジュイ=アン=ジョザでの奇妙な体験
リュディの「死」
寄宿舎のパトリック~「モンセル中学校」
イギリスひとり旅
寄宿舎のパトリック~「サン=ジョセフ校」
寄宿舎のパトリック~「アンリ四世校」
寄宿舎のパトリック~「ミシェル=モンテーニュ校」
〈ユダヤ性〉をめぐって
ある〈疑惑〉
〈母性〉への飢え
父との愛憎
生きるという仕事
自立する意志
兵役をめぐって
結婚
第二章 【技法】迷宮としての世界
〈記憶の芸術〉
霧のなかを手さぐりで……
一人称の世界
描写の後ろに寝ていられない
錯綜する時空間
自由間接話法
名前の秘密
執拗な探索
第三章 【物語世界~?@】ナチス占領下のパリ
占領下パリのフランス人
「ぼくは存在しないんです」
エディ・パニョンという男
「出生の腐植土」の真意
「わたしの哀れな姉コリンヌ」とはだれか
逃げ去る父
道化のような父親の肖像
ユダヤ人の四類型
〈悪〉について
第四章 【物語世界~?A】年上の聖母たち
孤児の群像
年上の庇護者たち
置き去りの恐怖
残された者たち
第五章 【物語世界~?B】パリの〈語り部〉
パリの地霊
故郷喪失者たち
犬をめぐって
ホテル、カフェ、レストラン、駅……
〈やさしさ〉について
付録 全作品の梗概
あとがき
【著者紹介】
1947年、埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。70年、徳間書店に入社。一貫して編集部門を歩き、2002年、ノンフィクション部門の編集局長を最後に退社。その後、フリーとして書籍の編集に携わる。著書に『「語る人」吉本隆明の一念』(光文社)、『吉本隆明はどうつくられたか』(徳間書店)などがある。
内容説明
「私は何者か」「家族とは何か」「占領下パリのユダヤ人」といったテーマを通じ、現代の定かならぬ“生”と“愛”を語り続ける“モディアノ世界”の全容に迫る。日本初のモディアノ考!2014年ノーベル文学賞受賞“モディアノ世界”のすべてがわかる!
目次
第1章 小伝―自殺した犬~それはわたしだ(自伝としての『血統書』;ジャン・モディアノ ほか)
第2章 技法―迷宮としての世界(“記憶の芸術”;霧のなかを手さぐりで… ほか)
第3章 物語世界~(1)―ナチス占領下のパリ(占領下パリのフランス人;「ぼくは存在しないんです」 ほか)
第4章 物語世界~(2)―年上の聖母たち(孤児の群像;年上の庇護者たち ほか)
第5章 物語世界~(3)―パリの“語り部”(パリの地霊;故郷喪失者たち ほか)
付録 全作品紹介
著者等紹介
松崎之貞[マツザキユキサダ]
1947年、埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。70年、徳間書店に入社。一貫して編集部門を歩き、2002年、ノンフィクション部門の編集局長を最後に退社。その後、フリーとして書籍の編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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