出版社内容情報
20世紀における二つの詩的な伝説、ロルカと三島。両者の作品を通じ、東洋と西洋との文化的出会いの地平を切り拓かんとする試み。
20世紀における二つの詩的な伝説、ガルシア・ロルカと三島由紀夫。両作家の作品の比較検討を通じ、その類似点の追究、知られざる文学的側面の発見、東洋と西洋における文化的出会いの地平の開拓、その伝説としての解明を試みた画期的論考。
序章  ロミオとジュリエットの薔薇
第一章 ガルシア・ロルカの作品世界に投影された日本文化と俳句
  1 ロルカの作品世界に投影された東洋世界と日本文化
  2 日本をめぐる二つの友情 ミゲル・ピサロと中山幸一
  3 一九二〇年代スペインにおける俳句の流行
  4 青年期の詩作における俳句の影響
  5 『タマリット詩集』(一九三六)における俳句の影響
  6 ロルカが抱いた俳句の概念
  7 日本文化をモティーフにしたロルカデッサン
第二章 三島由紀夫 スペイン文化と文学への憧れ
  1 三島 スペイン文化への接近
  2 スペイン語の響きへの愛着
  3 三島とディエス・デル・コラールの出会い
  4 三島とオルテガ・イ・ガセット
  5 三島とスペイン建築
  6 三島とスペイン絵画
  7 三島とフラメンコ
  8 三島と闘牛
  9 三島と二つのスペイン人気質――カルメンとドン・フアン――
  10 三島とドン・キホーテ
  11 三島とロルカ文学
  12 スペイン文化の不死性への憧れ
第三章 仮面の神秘
  1 『観客』(一九三〇)
  2 仮面の諸機能
  3 両義的な記号としての仮面――隠蔽と暴露――
  4 仮面の諸相
  5 慣例社会を表象する仮面としての女性登場人物
  6 変身を促す仮面
  7 演劇の仮面
  8 魔術的かつ神秘的な仮面
  9 重ね合わされた仮面
  10 永遠の仮面とその神秘
第四章 聖セバスチャンの伝説
  1 聖セバスチャンの伝説
  2 聖画としての聖セバスチャン
  3 スペイン黄金世紀演劇における聖セバスチャン
  4 二十世紀文学における聖セバスチャン
  5 二十世紀における聖セバスチャンの図像
  6 同性愛を表象する図像としての聖セバスチャン
  7 同性愛を表象する図像としての水夫
  8 同性愛を表象する記号としての白手袋
  9 サド・マゾヒズムを表象する図像としての聖セバスチャン
  10 作品世界内に見られる聖セバスチャン的な登場人物
  11 二十世紀における聖セバスチャンの伝説
第五章 夢が創造する時間の伝説
  1 二十世紀文学と時間論
  2 『五年経ったら』(一九三一)
  3 『近代能楽集』(一九五六)
  4 演劇装置としての夢
  5 フロイトの精神分析理論の影響
  6 〈不可能の愛〉を表象する記号としての二つの扇
  7 二十世紀における非人間化された世界
  8 待つことに恋する女性たち
  9 時間の経過と待つ行為の関係
  10 円環する時間
  11 時計を媒介とする年代順的・直線的な時間の破壊
  12 一瞬と永遠の交差
  13 存在の不安定感と二十世紀の孤独
  14 伝統と現代の融合
  15 夢によって創造された詩的な時間の伝説
第六章 男性不在の伝説と女性の自由
  1 『ベルナルダ・アルバの家』(一九三六)
  2 『サド侯爵夫人』(一九六五)とスペイン
  3 フェミニズム演劇批評
  4 家族劇
  5 女性の小宇宙
  6 数学的体系
  7 ラシーヌ風古典劇作法
  8 女性の声の対位法
  9 母親
  10 自由と反逆を表象する娘たち
  11 劇的状況
  12 積木の理念
  13 母親の小宇宙を表象する舞台空間
  14 唯一の男性をめぐる娘たちの争い
  15 女中の役割
  16 伝統と現代の融合
  17 不在の男性の詩的な伝説
  18 女性の自由
最終章 二十世紀 二つの伝説
  1 性の問題
  2 残酷さ
  3 近現代における男女関係の破壊
  4 フロイトの精神分析理論の影響
  5 映画
  6 年代順的・直線的な時間への反逆
  7 世界解釈
  8 非人間化された世界
  9 不条理性
  10 男女間におけるコミュニケーションの不在
  11 存在の不安定感
  12 二十世紀の孤独
  13 現実批判
  14 虚無と空虚
  15 伝統と現代の融合
  16 再生の文学
  17 二十世紀世界文学
  18 二十世紀 二つの詩的な伝説
註
付録 ガルシア・ロルカと日本 資料と作品集
  付録一 「仏陀(BUDDHA)」(一九一八)
  付録二 「ミゲル・ピサーロ!」
  付録三 「母を祝う俳諧」「俳諧についての覚書」「俳諧についての批評」
  付録四 スペイン語に翻訳された三島由紀夫の作品一覧
  付録五 三島由紀夫が所有したスペイン文学及び文化に関する蔵書一覧
  付録六 三島由紀夫が愛蔵した『ロルカ選集 全三巻』(一九五八)の内容
  付録七 スペイン・バルセロナにおける『サド侯爵夫人』の初演記録(一九八六)
  付録八 スペイン・マドリッドにおける『サド侯爵夫人』の初演記録(一九八七)
引用文献一覧
図版出典
あとがき
主要書名・論文名・雑誌名・新聞名・作品名索引
人名索引
【著者紹介】
1976年兵庫県生まれ。関西外国語大学スペイン語学科卒業。スペイン国立サラマンカ大学大学院博士課程修了。スペイン国立サラマンカ大学文学博士。現在、関西外国語大学非常勤講師。専攻、スペイン近現代演劇、比較文学。主な論文に「記号論の視座から読むミウラ演劇のユーモア」(『イスパニカ』54号、2010年)、「スペイン映画『靴に恋して』(2002)における衣服の意味作用」(『関西外国語大学研究論集』93号、2011年)などがある。
内容説明
詩的伝説はいかにして生まれたのか。生涯と作品の謎に迫る。両作家の作品の比較検討を通じ、類似点の追求、知られざる文学的側面の発見、東洋と西洋における文化的出会いの地平の開拓、伝説としての解明を試みた、気鋭による論考。
目次
序章 ロミオとジュリエットの薔薇
第1章 ガルシア・ロルカの作品世界に投影された日本文化と俳句
第2章 三島由紀夫スペイン文化と文学への憧れ
第3章 仮面の神秘
第4章 聖セバスチャンの伝説
第5章 夢が創造する時間の伝説
第6章 男性不在の伝説と女性の自由
最終章 二十世紀二つの伝説
著者等紹介
小阪知弘[コサカトモヒロ]
1976年兵庫県生まれ。関西外国語大学スペイン語学科卒業。スペイン国立サラマンカ大学大学院博士課程修了。スペイン国立サラマンカ大学文学博士(Doctor en filologia hisp´anica por la Universidad de Salamanca)。現在、関西外国語大学非常勤講師。専攻、スペイン近現代演劇、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。


 
               
              


