出版社内容情報
吸血鬼小説からブラック・ユーモア文学、ナンセンス詩まで、鬼才種村季弘が翻訳した奇想渦巻く小説・戯曲・詩を集大成。
吸血鬼小説からブラックユーモア文学、ナンセンス詩まで、種村季弘が遺した翻訳の中から、単行本未収録を中心にした小説・戯曲・詩を集大成。ホフマン「ファルンの鉱山」、マイリンク「レオンハルト師」ほか33編。
【著者紹介】
1933年生まれ。2004年死去。主要著訳書--『種村季弘のネオ・ラビリントス』全8巻、河出書房新社、ホッケ『迷宮としての世界』美術出版社(共訳)他。
内容説明
怪人・種村季弘が遺した翻訳迷宮の中から、単行本未収録を中心にした小説・戯曲・詩作品を一巻に集大成。ホフマン「ファルンの鉱山」、マイリンク「レオンハルト師」、ブニュエル「麒麟」他。吸血鬼物語・オカルト小説・ブラックユーモア文学・ナンセンス詩―綺想渦巻く33編。訳者自身による鋭利な作品解説も収載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
36
ホフマン、マイリンクの因果関係が見いだせないためにじわじわ来る怖さは秀逸です。吸血鬼関連の物語が多い中、ラジオでのクラシック演奏に突然、他局のロック演奏が混線してくるような『ドラキュラ・ドラキュラ』の異色さに愕然とするしかない。ただ、訳で「アドレス」と表現されている点が古色蒼然めいた文章にひびを入れている感じがします。2013/08/21
HANA
19
ゴシック調、神秘小説から前衛まで収められている分野は非常に幅広い。個人的に素晴らしいのはマイリンクが四篇も収録されていること。特に「こおろぎ遊び」は最後、黙示録的な地獄の予感だけが高まって終わるという最高の出来。「チンデレッラ博士の植物」も別の次元に行ってしまった男の悪夢と人体を元にした植物という傑作。「レオンハルト師」は魂の彷徨という神秘小説としては言う事無しの出来。もっと翻訳されればいいのに。他にもシュオップの「吸血鳥」等趣味に合うものが多すぎ。やはり独逸の怪奇小説は個人的に趣味のど真ん中である。2012/05/19
兎乃
5
堂々の本体6200円A5判上製箱入り600頁、装幀・間村俊一氏。単独の訳書に未収録だった作品をまとめた大冊。小説・戯曲・詩など27人33作品を収録。4月から読み始めて、いろいろ浮気しながら読了。 お腹いっぱいです。もう、ホント素晴らしかったです。幻想文学ファンにとって宝物となる一冊だと思います。2012/07/06
堆朱椿
3
マイリンクの「レオンハルト師」怖い。この作家さんは後期にはこういう、人間が生々しく怖い作品を書いているのかな。毒親怖すぎ。(この著者の作品もっと沢山読みたい…) ホフマンもいい感じ。本全体としては作品のトーンがバラついていて、私には読みにくかった。種村氏の翻訳集成なのでしかたないのですが…分冊して欲しかった。2015/01/06
N.蘭子
1
図書館本なのでカバーが見られなくて残念。超分厚い堂々の6500円、今まで読んだ中で最高値?(ひっそり置かれてたけど私以外に誰か借りた人がいるのか心配)ああ、こんな本を自分で買って本棚に並べてみたい・・。もちろん中身も絢爛豪華、1か月かけて少しずつ大事に読んだ。2013/07/17