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出版社内容情報
「耳なし芳一のはなし」「ろくろ首」「雪おんな」…日本人にとってあまりにも馴染みの深いラフカディオ・ハーンの名作『怪談』(平井呈一訳)の装画を、チェコの映画監督・造形作家ヤン・シュヴァンクマイエルが描く――描きおろしオールカラー二十二点で贈る、一世紀を越えて実現した夢の企画!
【著者紹介】
1934年チェコスロバキア・プラハ生まれ。シュルレアリストの芸術家、アニメーション作家・映像作家、映画監督。アニメーション作家・映画監督としての業績で著名だが、シュルレアリストとしてドローイングやテラコッタ、オブジェなどの分野でも精力的に活動している。
内容説明
「耳なし芳一のはなし」「ろくろ首」「雪おんな」…日本の風土や伝統、因習や信仰の精粋ともいうべきラフカディオ・ハーンの名作『怪談』の世界を、チェコのシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエルが描く―綺想と幻想が創造する痙攣的な美。描き下ろし22点をオールカラーで収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
75
怪談といっても怖くない。絵も、好きなシュヴァンクマイエルは、流石に(お話と関係ある?)みたいで不思議です。平井呈一氏の訳文〜又1人素晴らしい翻訳者?文学者?に遅ればせながら巡り会えました。とても魅力的な一冊でした。2022/06/19
sin
69
シュヴァンクマイエルのイメージ*海外の妖精物語の挿絵に日本の妖怪絵巻がコラージュしてあって素晴らしい、“怪談”そのものの持つ情景とは全く違う一コマの中に物語の手触りを感じてやまない…インパクトの強い本です。“怪談”と云う極東の島国の物語に、北欧の人間が如何なる印象を受けたかをストレートに伝えてくれるようです。2013/10/26
ちえ
45
〈『怪談』は伝統的なお化けの物語を伝える日本の本のうちチェコ語に訳されたごくわずかなものの一冊です〉というシュバンクマイエルの前書きに興味を引かれ調べるまで『怪談』が英語で書かれていると思ってなかった。ラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)は日本語はしゃべれなかったのか。コラージュを使ったシュバンクマイエルの挿し絵には最初違和感を覚えたけれども、使われている日本の妖怪画と元の西洋画が作る世界がシュールでざわざわする。初読みの「虫の研究」には異文化の研究者としてのハーンの知識の深さを知った。↓2020/11/10
Yuuki.
24
ヤン・シュヴァンクマイエルの挿絵目当て。挿絵だけ見ても絶対にどんな怪談話か想像は出来ないが、話を読みながら見ると、「シュヴァンクマイエルらしさを出しながらコレをコラージュで表現したら、そうなるか!」と感心してしまう。やっぱ大好き、シュヴァンクマイエル。そして、実は『怪談』を読むのも初めて。ちゃんと知っていた話は「耳なし芳一」だけ。他は名前は知ってたけど話は全然知らなかった、もしくは聞いたことすら無かった。そんな中、結局最初から知っていた「耳なし芳一」が私には一番面白かった。2021/02/17
クラムボン
19
本の扉には、愛蘭人ラフカディオ・ハーンは古今著聞集や百物語などから採ったと書いているが、実際は妻セツから聞いた民話や伝説の再話だと思う。その英語版を平井呈一が日本語に翻訳したものなので、語句や文章の置き換えなどがあったろうが、何と自然で素晴らしい訳だろう。そしてこの本の最大の特徴がチェコのヤン・シュヴァンクマイエルの挿絵だ。西洋の幻想的なモノクロ画に、チェコと日本の色鮮やかな妖怪絵をミックスしてコラージュしたもの…単体で見るには素晴らしい。ただ物語と全く関係ない挿絵というのはどうだろうか。奇妙なものだ。2024/09/01