小林かいちの世界―まぼろしの京都アール・デコ (改訂版)

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  • サイズ A4判/ページ数 159p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784336051738
  • NDC分類 726.5
  • Cコード C0071

内容説明

大正・昭和初期の京都に活躍した謎のデザイナー、小林かいち。その過激にしてエレガントな絵葉書・絵封筒の小宇宙を読み解く。初版刊行後に明らかになった事実を詳細に網羅し改訂した決定版。

目次

はじめに 謎の「小林かいち」
小林かいちデザイン案内
かいち絵葉書世界
対談・記憶の中のかいち―残されたかいち封筒をめぐって(山田俊幸・芳賀直子)
かいち絵封筒世界

著者等紹介

山田俊幸[ヤマダトシユキ]
1947年生まれ。帝塚山学院大学教授

永山多貴子[ナガヤマタキコ]
1967年生まれ。郡山市立美術館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ヴェネツィア

283
小林かいちは、大正期に主に京都を舞台に活躍した美術家。大正12年の関東大震災の後、さくらい井屋(京極三条)から発売された「現代的版画抒情絵葉書」(4枚セット)を嚆矢として、以降次々と木版画を制作していった。それらは過剰なくらいに浪漫的であり、まさに「大正ロマン」の香気を今に伝える。ビアズリーの持つ鋭角的な妖しさを、曲線と穏やかな色彩によって日本化(それはやはり幾分かの通俗化でもある)したようなタッチの版画群である。かいちは、ドイツやフランスあるいはアメリカのコレクターによって早くから着目されていようだ。2023/10/31

ヒロミ

46
現存する小林かいちの絵葉書、封筒をほぼ網羅した画集。とにかく綺麗で美しい。金色の主線の絵なんか真似してみたいくらい。ゴシック、キリスト教、廃墟にジャポニズムと現代の退廃的な少女趣味にも合致している気がする。長谷川泰子「ゆきてかへらぬ」の文庫版表紙で使われていたトランプ模様の作品も収録されている。顔を覆って嘆いている女性の作品も多く、大正〜昭和の感傷的な乙女心に響いたのだろうなあ。舞妓さんのだらりの帯が素敵。キラキラとスタイリッシュです。2016/02/20

なる

38
何年か前に弥生美術館で作品を知って一目惚れしてしまった。大正ロマンを体現するセンスで絵葉書、絵封筒を多く残した。貰って嬉しい手紙文化の至高。西洋画からのアプローチも感じさせる画風は例えば人物像に現れる。当時の人物写真と比べて圧倒的なスタイルの良さ(八頭身)を貫き、また、ほとんどの人物像には目と鼻が描かれておらず、見る側に表情を想像させるという手法を取って幻想へと導く。単色の色遣い、特に赤色がとてもいい。乙女、女学生、芸妓などがテーマになる中で聖書を題材にしているのも意外。これは現代でも通用するはず。2021/02/08

内島菫

26
今も残る京都のさくら井屋から大正~昭和に販売されたかいちの絵葉書や封筒は、デザインもさることながら木版画独特の色合いや風合いが、普通は通俗的になりがちなピンクと赤と紫の組み合わせを、彼の作風の最も魅力的な特徴に押し上げている。大正時代に流行ったというクロスワードパズルをデザイン化した背景に、夢二風の女性が配置された白黒の作品も大胆。時代や版元の要請で、昭和十年代頃にはモダンな乙女趣味のデザインから伝統的な京都風のデザインへと変化するが、京都の人でありながら前者の方が圧倒的に人を惹きつけているのも面白い。2016/12/03

10
谷崎潤一郎、『卍』で園子が光子に送る手紙は小林かいちの描いたレターセットとよく似ているらしい。p58。2015/08/27

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