出版社内容情報
19世紀末のイギリス幻想文学の巨匠による、本邦初訳短篇10篇。流麗な文体で描かれる怪奇の顛末と、その果てに起こる小さな奇跡。
内容説明
英国の幻想文学の大家による、未邦訳10篇を含む計11篇。どの一篇をとっても、深く胸に残る結末をむかえる、魔法のように、忘れられない一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
295
著者デ・ラ・メアの幻想作10篇によって編まれた短篇集。デ・ラ・メアは”幻想文学の大家”と称されるように当に本分たる才華に彩られた俊逸な1冊といよう。幻想文学の手法は、以前のレビューにも書いたが、神秘文学・オカルト文学とも言い、超自然的な事象や非現実的で架空の出来事を題材にした作品の総称で、テーマとなる対象をはっきりと書き現わさずに、その輪郭をぼかしながら読者に異質的な感情や特異性を呼び起こさせる儀表であり、推理小説でいえば”叙述トリック”に相当する。よって気を付けて読まないと作者の意図にハマってしまう。2017/06/03
くさてる
26
文句なしの傑作「謎」を冒頭に、デ・ラ・メアらしい、いかにもな幻想怪奇な短篇の数々を堪能しました。どれもがどこかおぼろげではっきりとした謎の答えが提供されるわけではないけれど、だからこそのこの雰囲気を楽しみました。「深淵より」「どんな夢が」「家」などが印象に残りましたが、いちばんのお気に入りは怪奇とはいいがたい盲目の青年の恋を描いた「一瞥の恋」です。2020/09/05
AR読書記録
6
なんだかどうにも話についていくのが難しく、朦朧にもほどがあるのぅ...と思っていたら、訳文がダメ説を見てちょっとほっとしてる。訳文といえば、ちらほら旧字体や旧仮名遣いが混じっているのも、原文にそんなニュアンスがあるとかの意図的なものかどうかも、よくわからなくてちょっと気になる。で、お話のというより全体的な印象として、英国の幽霊は寡黙だなぁ。“うらめしや”なんてちっとも言いそうにない。その場に焼き付けられた像のような、幻影のような。幽霊にもお国柄いろいろあるやね。2015/09/18
timeturner
6
最初の一編を除き、意味不明の訳文が続く。元の英文を理解できないまま逐語訳をしていくとこうなるという見本のよう。読み間違いも多い。デ・ラ・メアの英文は難しいので訳者には同情するが、この訳文にOKを出した編集者の姿勢に疑問を感じる。デ・ラ・メアに対しても読者に対しても失礼だろう。2014/11/15
ノベツ
4
途中リタイア。訳が現代的じゃなさすぎて話が頭に入ってこない。2024/08/31