内容説明
引退前夜のダンスホールの名花、一世を風靡した上海出身の映画スター、食堂係を務める歴戦の勇士、歌声を失った往年の名歌手…。国共内戦によって台湾に渡り、戻れぬ大陸への郷愁と失われた過去の追憶に朽ち果てていく外省人の姿を、甘美な幻影のなかに描いた喪失の美学。台湾文学史上にのこる記念碑的作品集、初の全訳。
著者等紹介
白先勇[パイシエンヨン]
1937年中国広西省において、国民党の有名な将軍白崇禧の五男として生まれる。国共内戦の敗北に伴い1952年に台湾に渡り、青年時代を過ごす。台湾大学外文系卒業後アイオワ大学に留学し、小説執筆のかたわらカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校で教鞭をとる。カフカ、フォークナーなど欧米のモダニズム文学の強い影響を受け、大きな着想と繊細な技巧を駆使した傑作を数多くものしている
山口守[ヤマグチマモル]
1953年、長野県生まれ。東京都立大学大学院博士課程満期退学。現在、日本大学文理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つまみ食い
2
ある町を示すタイトル、そしてそこに暮らす老若男女を公私の両面から描く短編小説集であるという点で確実にジョイスのDublinersが影響があるだろう。2020/09/17
及川まゆみ
2
〈メモ〉永遠の尹雪艶のみ読了。2015/08/12
Hiroko
0
外省人の悲哀が漂ってくる。昔の栄光、そこに帰る術もない今。どちらかといえば、外省人に対し、横暴、傲岸の印象を抱いていたので、ここに描かれている世界を通じて、自分の認識が改まった気がする。2014/10/28
けよ
0
登場人物が外省人ばかりで、台湾の話というより台湾における中国人の話といった感じ。2010/05/09
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