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内容説明
惑星ソラリスを探査中のステーションで異変が発生した。謎の解明のために送りこまれた心理学者ケルヴィンの目の前に自殺した恋人ハリーが姿を現し、彼はやがて悪夢のような現実と甘やかな追憶に翻弄されていく。人間とはまるで異質な知性体であるソラリス。そこには何らかの目的が存在するのだろうか。コンタクト―地球外の知性体との遭遇について描かれた、最も哲学的かつ科学的な小説。広大無辺な宇宙空間において、理解不能な事象と愛の記憶に直面し、人は何をすべきか。タルコフスキーとソダーバーグによって映画化された新世紀の古典、ポーランド語原典からの新訳版。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さと
79
残念ながら 今の私には作品の魅力、世界観、スケール…を感じ取ることができず挫折してしまった。(正確には読み切れなかった本に登録(*_*;)(中途半端な印象を述べる失礼をお許しいただくなら)ソラリスが創り出す"お客さん"は、それぞれの心の中に生き続ける執着、後悔、愛…あらゆる感情が具現化されたものなのではないかと感じた。終わった事として片づけていた感情は実は自分の心の海の中で生き続け、実はもはや自分の手に負えない存在となっているのではないか。2018/07/23
NAO
56
ソラリスは、生きた海に覆われている。その海は、人間の記憶を読み取り、その人が一番大事に思っている人物の複製を作り上げる。だが、海がステーション内の人間一人一人に「お客さん」なる復元人間を作っても、その復元人間が海とのコミュニケーションの仲介をするわけではない。ケルヴィンがステーションに到着して以降ずっと重奏低音のように描写されている圧迫感と不気味さは、海と人間の交感が絶対的に不可能であることを意味しているのではないか。じわじわと不安と不快感が広がっていって、なかなか怖い話だった。 2016/04/04
Tadashi_N
38
存在ってなんだろう?生物ってなんだろう?ソラリスの海は、人の脳に作用するらしい。映画とはかなり違うらしい。2017/12/14
かんやん
35
イグノラムス・イグノラビムス。膨大なソラリス研究の文献の引用、執拗に描かれれば描かれる程、イメージが遠去かるようなソラリスの海の変容、解釈を拒むというより無数の解釈を生み出す不可解性は、この作品の豊かさに通じている。SFかと思ったら、実はホラーであったというようなジャンル分けが意味を持たない。むしろそれが幽霊だったなら、安堵のため息を漏らしたであろうし、狂気ならば治療の可能性があっただろう。やたら人間臭いE.T.だとか捕食者のようなエイリアンを生み出す想像力とは、一線を画している。恐ろしくも哀切を極めた。2021/11/10
syota
30
眼前に広がる圧倒的な存在感とはうらはらに、余りに人類と異なりすぎて理解も意思疎通も不可能な生命体。その圧迫感、不気味さが通奏低音のように全編に流れている。クリスとハリーの関係も“人間とアンドロイドの愛”といった単純な図式にはなっていない。理解不能な生命体との接触という哲学的ともいえる基本テーマに、ミステリーとロマンスの要素を絡めて緊張感を高めている。読み手に解釈をゆだねた部分が多いことも、作品にふくらみをもたらしている。SFでありながら、読み手におもねないシリアスな雰囲気が印象的だ。傑作。[G1000]2015/10/10