感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネコベス
29
塩沢地が広がる漁村に住む貧しい画家夫婦ジョンとヒラリーはロンドンから執筆に専念する為訪れた作家ファインズと知り合う。困窮した生活に心身を擦り減らしていたヒラリーを女たらしのファインズが誘惑。噂は村中に広がりジョンはファインズに憎悪を抱く。死者が出るまでの前置きが長くミステリとしてもややあっさりしているものの、堅実なストーリー運びで終盤まで事件か事故か分からぬまま突き進む佳作。ファインズに惹かれるヒラリーと、嫉妬に心乱すジョンの動揺、次第に悪化する夫婦仲の描き方が巧み。2019/01/18
nac
1
とにかく描写力がすごいです。人間の動かし方が本当にうまい。ミステリーとして成り立たせるための瑕瑾--恐らく避けられないもの--はありますが、それは特に大きな問題ではありません。人が生活する上でほんの少しずつ犯す、--ものによっては罪にもならないような--罪と、平穏に幸せに生きるために犯さざるを得なかった罪を描いた作品である、と言えるかと思います。2014/10/15
madhatter
1
『推定相続人』が面白かったので。「推理」より「調査」がメインの作品であるかもしれない。事実、犯人の告白の手紙で明かされるトリックは、拍子抜けの気味がある。これを補うためか、○○○という叙述形態が、読み手に対して大きな罠を仕掛けるのだが、個人的には軸となる画家夫婦の心理描写に惹かれて、一気に読み切った。些細な所で相手の本心に届かない、それがすれ違いを生み、皮肉な結果に至る流れが、嫌らしい位に精緻に描写される。この二人に限らず、主要登場人物が、どこかで必ず純情な癖に、あるべきところに届かないのが面白い。2012/02/24
schizophonic
1
前半部分をまるまる割いた人間関係の描写、詳細な捜査過程はじっくり読ませる。が、いざ犯人が判明して謎解きとなると、あっさりと幕を下ろすので、ちょっと取り残されたような感じに。2011/03/27
kanamori
0
☆☆☆2013/09/27