内容説明
日影迷宮の全貌初の全集。単行本未収録作品を多数収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
5
「咬まれた手」は評論家夫婦の能天気さに苛々しましたがあの清々しいまでの悪党にはまさに「天晴れ」というしかありません。「地獄時計」はキリストとユダの関係性を仮託しています。最後はジャンは犯罪者として捕えられますがこのことによって彼は二分できない世界で人を超越した印象をミステリーで残したのではないかと考えます。「夕潮」は蠱惑的な女性を描きながらも対立する夫の怖さが存分に引き立っています。「ハイカラ右京探偵譚」は半七捕物帖や明治開花安吾捕物帖好きにはたまらない人情味とケレン、耽美も入り混じった珠玉です。大好き。2012/04/19