内容説明
本書は、垂加翁その人のことを中心とした前篇と、門流の人々のことを論究した後篇とから成り、対象をしぼったいくつかの論考が並べられている。
目次
前篇 山崎闇斎と垂加神道の成立(『山崎家譜』の選述;『神代巻口訣』の校刊;垂加霊社;『垂加中訓』と『風水草』との間;“神は天地の心”・“心は神明の舎”;秘伝の意味;山崎闇斉の臨終;『垂加翁書籍目録』とその意義)
後篇 垂加神道の継承と展開(『玉籤集』の編纂と焼却;玉木葦斎の伝へた垂加神道の極秘口伝―『三伝極秘巻』と『自従抄』;橘家鳴弦蟇目の伝と玉本葦斎自作の秘弓;若林強斎の霊社号;若林強斎の『神道大意』;多賀の垂加霊社;滝津亭の神学的根拠;跡部良顕覚書;失明の跡部良顕―特に『安座伝』の成立との関係;鹿島の垂加霊社・光海霊社;岡田正利の自叙小伝『盤斉之記』;鎌田五根と千家俊信)
著者等紹介
谷省吾[タニセイゴ]
大正10年9月21日、大阪市に出生。昭和36年帝塚山短期大学教授となったが、翌37年皇学館大学教授に転じた。昭和63年学長に就任、平成6年退職して、名誉教授となる
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感想・レビュー
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きさらぎ
6
人物中心で読みやすい。垂加神道の祖、山崎闇斎は神儒兼学だが、儒学系の本に「儒学は徹底的に儒の言葉で、神道は徹底して神道の言葉で語り、習合させなかった点が闇斎の思想家としての凄み」とあってなるほどと思ったのだが、朱子学において「朱子と共に誤るなら本望」と言い切った闇斎は、神道においても伝えられてきた事を虚心に読み、疑わしい説を省き、判りにくい説は明らかにする事にひたすら勉め、「自説を立てる」ことを嫌った。少なくとも、本人の意識としてはそうだった。本書では、闇斎とその継承者たちの求道者精神に触れる事が出来る。2016/03/18