内容説明
人間いかに生きるべきかという究極的な価値を追究した文献は「経蔵」であるが、われわれはこれまで何となく、「律蔵」は「経蔵」と同じ思想的レヴェルにあるものと思い込んできた。しかし、ひょっとすると「律蔵」は「経蔵」とは全く異なるのではないか…。本書は、このような「経蔵」とは異なる「律蔵」の特徴を明らかにし、その思想的根源を探ろうという目標をもって著わされた。書名を『初期仏教教団の運営理念と実際』としたのは、このような意図があってのことである。
目次
序論に代えて 仏教における「経」と「律」の葛藤
第1章 「律蔵」の思想と「経蔵」の思想
第2章 「律蔵」と「経蔵」における懺悔
第3章 破和合僧と部派
第4章 初期仏教教団運営の理念
結論に代えて 「律蔵」の諸特性とインド文化