内容説明
1963年に発表され、三島由紀夫、吉行淳之介らの賞讃を浴びたデビュー作「初稿エロ事師たち」のほか、万博に向け急ピッチで造成が進む大阪で、人間の“死に方”におのれを賭けた男たちの生き様を描く中篇「とむらい師たち」、死地ベトナムとの往還を続けるアーミーたちにロハで体を与えるベトナム姐ちゃんが横須賀の町を闊歩する表題作など、軽快な語りが充溢する十六篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nina
29
エロ・グロ・テロの三ロ作のうち処女作の『初稿エロ事師たち』と『とむらい師たち』を含む初期短篇16作を収録。三ロ作最終章を飾る『てろてろ』に比べると、さすがにアッケラカンと突き抜けた感はまだ希薄に思えるが、それでもあらゆるタブーを掘り返し、人間の根源に迫らんとするアプレ的情熱とともに、市井の人々が抱える戦争の生々しい傷痕や、うらぶれた暮らし向きの中に染み付いて離れない悲哀が、時代の渇いた空気とともに刻まれていて、エログロの向こうに妙に胸を打つものがあった。2015/02/15
sss
1
面白かった。2016/02/23
tenorsox
1
エロ本、売春、ホモ、子作り(!)等々「性」に関する様々な題材を扱った野坂昭如の初期作品集。 美女が登場しないせいかあんまりエロくなく、高度経済成長期を舞台としているはずなのに薄汚くて湿っぽくて貧乏たらしく、それらを作為なく勢いだけで書いてる風なのに妙に文学的でなんとも言えない読後感を残す。 デビュー作の「初稿エロ事師たち」、表題にもある「ベトナム姐ちゃん」、新説?「マッチ売りの少女」等々どれも面白いが、雰囲気はどれも似たようなので全部読まなくてもよいかも。2015/07/06