感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
13
1939年作品。こうした全集に2作も選ばれるのだから良い作家なのだろう。この二作の他にも手に入りにくい翻訳作品が幾つかあるらしい。ぜひ読んでみたい。ロンドン郊外の田舎の旅館で老人が自殺する。折からロンドン警視庁の警部が休暇で訪れていた。老人には兄妹がいて老人の自殺に強い疑問を持つ。探偵を雇って兄が積極的に私的な捜査を行う。小説はこの経緯を追い、最後に殺人が立証される。兄の口調が傲慢で不快感を与える。意外な犯人もやや不自然な気がするが、前回読んだ「英国風の殺人」には及ばないものの快作であることは間違いない。2022/01/28
mercury
5
1939年の作品。出だしが少し退屈かなと思いましたが、保険金の話が出てから物語はすいすい進み、最後は納得のどんでん返し。ただ私にはどんでん返しでしたか話の面白さに引きずられず冷静に読んでいれば驚きの結果とはいえないかも。自己中の変わった人がたくさん出てきてそれも面白い。2016/01/27
飛鳥栄司@がんサバイバー
5
息子と娘それに娘のフィアンセが老人が死んだ日に老人と同じフロアにいた人物を洗い出し、老人との関係と殺意について調べていく至ってシンプルな構成。着地点はどこなのか、冒頭に登場したマレット警部はいつ活躍するのか、途中で雇ったいわくありげな探偵は謎解きに参加するのかなどなど、読者の心をざわつかさながらページを捲る手を止めさせないところは、作者の上手さであろう。最後に意外な真相に行き着いたときは、拍子抜けする感じもするが、あとになってじわじわとボディブローが効いてくる様な伏線の張り方がとても効果的で楽しい。2013/09/20
Hiro
3
これは息抜きの積もりで読んだのだが段々面白くなって最後の意外な結末に本当にびっくりして、読み終わってからこんなにいろいろ仕組まれていたのか感心してしまった。推理小説はこうでなくっちゃ。しかし前に読んだ「英国風の殺人」の、ちょっとおっとりした優雅で上品な感じがやや欠けているとは思う。ユーモアあふれる会話は変わりないけれど。解説にあるように、英国上流階級への風刺が少し効きすぎているからだろうか。2021/10/21
あんすこむたん
3
保険金に関わるミステリー。なかなかのどんでん返しと皮肉な結末がまずうまい。起こった事件の性質にも関わらず、どこかコミカルなのがなおいい。少しづつ進んでいくことや話もシンプルなので要点が分かりやすく、読みやすい。2021/01/02