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内容説明
前世紀末からチリ・クーデターまでの一世紀を舞台に、奇想天外なエピソードと奇態な人物がとめどもなくつむぎ出される、幻想と恐怖と笑いに充ちみちた年代記。奔放な想像力と見事な語り口によって、現実と非現実のはざまに百年の歴史を描き出した本書は、非業の死をとげたアジェンデ大統領の姪のデビュー作として、そしてまた、『百年の孤独』にも比すべき魔術的リアリズムの傑作として、大きなセンセーションをまきおこした超話題作である。緑色の髪をなびかせる美少女ローサの妹クラーラは、毒殺された姉の屍体が無残な解剖をうけるのを目撃したのち、いっさい人と口をきかずに現実を遮断した世界に閉じこもった。クラーラは、念力で塩壺を動かし、椅子に坐ったまま空中に浮かび、霊界と交信できる不可思議な能力の持ち主だった。9年の沈黙の後、19才になった彼女は突如ローサのかつてのいいなずけエステーバン・トゥルエバと婚約し、精霊たちが見守る迷路のごとき宏壮な館で結婚生活をはじめるが…。
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- 評価
魔術か?!覚醒か?!本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
48
読み終え 感じたのは圧倒される運命の結末。息苦しさと共に呆然。標題の精霊的概念はさほどになく、南米チリに起きた歴史的事実とある一族の40年余にわたる歴史が姿を現している。絶世の美女ローサの登場、しかし端緒はその妹クラーラ。姉の許婚者エステバーンと結婚する。4章までは非日常的なチリの風景・文化が背景とあってあっちの世界的な映画を見ている感覚だった。次第に宗教的概念の崩壊、イデオロギーの対立、ゲリラと内戦状態から社会主義政権確立、軍事短命政権の誕生へ。目くるめく様な感覚で頁をめくった。アルバの登場~2017/11/21
Gotoran
44
クラーラの姉ローラの許嫁で、ローラの死後クラーラと結婚、ブランカを儲け、アルバの祖父となるエステーバン・トゥルエバとクラーラ、ブランカ、アルバの三世代に亘る母・娘・孫娘の物語。エステーバン・トゥルエバの回想で始まり、冒頭から精霊や死人が屋敷内を徘徊し、予言や奇蹟が日常の、一種の神話的・魔術的な世界観が醸し出される。エステーバン・トゥルエバの回想、クラーラが書留めた逸話、アルバの記憶で語られる数々のエピソードが魅力的。『百年の孤独』同様マジックリアリスムの傑作を堪能した。2015/02/26
ミツ
24
チリを舞台にした、19世紀末からチリ・クーデターに至るまでの100年間の、3世代に渡る一族の女性の生き様を描いた大作。400ページ2段組みという大著だが、3/4は親子の確執とメロドラマ的な恋愛、ときどきスピリチュアル、といったまさに朝の連続テレビドラマのような話が続くが、終盤に差し掛かってからがこの小説の本番である。精霊の彼岸と貧しい魂の此岸。幸福な記憶と愛おしい想像力はやがで、過酷で熾烈に吹き荒れる歴史という現実の前に消し飛ばされてゆく。同様の現実を知る著者自身の“悪魔払い”としての作品。2014/12/31
グラコロ
11
よくあるラテンの血族の年代記も、精霊たちが加わることでとんでもない作品になっている。しかも、原作者はクーデターで殺された大統領の姪となれば、そりゃもう魔術的リアリズムのリアルさのレベルが違う。霊能力者で超能力者のクラーラ、緑色の髪に金色の目の絶世の美女ローサ、彼女の元婚約者で後にクラーラの夫となるハイパーエネルギッシュなエステーバン・トゥルエバ、手作り飛行機で空を飛ぶ叔父のマルコスをはじめ、キャラ立ちが半端ない登場人物たちが続々。CSで放送された映画も録画したけど配役がなあ…。見るかなあ…。2019/12/24
maimai
10
個性的で奇妙な人物たちが繰り広げる突飛な展開の大長編、と書けば、小説を読む愉しみに満ち満ちているように思われるが、残念ながら最後までノれなかった。作者の書き方なのか、訳者の訳し方なのか(これまで何度も接した木村榮一訳、となればそんなこともないだろうが)、僕との相性はあまりよくなかったのだろう。話の大筋を振り返ってみればなるほど一族の壮大な歴史、これでおもしろくないはずがないような物語だが、各々のエピソードでの人物たちの行動に、全く迫真性がない。リアルであれとは言わない、そこに「真実」が感じられなかった。2025/02/28