内容説明
20世紀初頭のアイルランドのダブリン、両親を早くに亡くして孤児となったメイナスとフィンバーの兄弟は、義理の伯父コロッピー氏に引き取られ、その家で暮らすことになった。友人の神父と議論にふけり、何やら重要なプロジェクトを画策中らしい変り者、コロッピー氏の独自の教育方針の下で二人は育てられるが、やがて兄メイナスは綱渡り術の通信講座というイカサマ商売を考案、怪しげな教本の出版販売や競馬のノミ行為など次々に事業を拡大し、ロンドンへと出て行った。その後、コロッピー氏が重い関節炎に悩んでいることを聞いたメイナスは、奇跡的特効薬“豊満重水”を贈って服用をすすめるが、この薬が思わぬ事態を引き起こすことに…。奇想小説『第三の警官』で知られるアイルランド文学の異才フラン・オブライエンの「真面目なファルス」小説。
著者等紹介
オブライエン,フラン[オブライエン,フラン][O’Brien,Flann]
1911年、アイルランド北部のディロウン州で生まれる。本名ブライアン・オノーラン。ダブリンのユニヴァーシティ・カレッジを卒業後、ダブリン市公務員として働きながら、実験的長篇小説『スウィム・トゥー・バーズにて』を完成、1939年に出版、ベケット、ジョイスらに高く評価された。しかし、死者の世界を描いた第二作『第三の警官』は出版社から拒否され、公表を断念。一方、マイルズ・ナ・ゴパリーンの筆名で新聞に執筆したコラムは、痛烈な諷刺とユーモアで人気を博し、20年以上つづく長期連載となる。1960年代に入って再刊された第一作の反響に力を得て、『ハードライフ』(61)、『ドーキー古文書』(64)を発表し、1966年のエイプリル・フールに死去。翌年、長く筐底に秘められていた『第三の警官』が出版されると、20世紀文学の前衛的方法とアイルランド的奇想とユーモアが絶妙にからみあった傑作として絶賛を浴びた
大沢正佳[オオサワマサヨシ]
1928年生まれ。主な著書に『ジョイスのための長い通夜』(青土社)、訳書にフラン・オブライエン『第三の警官』などがある
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三柴ゆよし
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