内容説明
ナイアガラ周辺地域では、1812年の第2次アメリカ革命を題材に映画撮影が進行中。脚本に関わったアンブローズ・メンシュは監督との仲違いの日々が続いていた。そこへ代々革命に身を捧げてきた一族の末裔A・B・クック6世、ついに文字を捨て数字による文学へ辿り着いた狂える作家ジェローム・ブレイらも加わって、現場は混乱をきわめる。その大騒ぎの中、相変らずアンブローズと熱愛中のレイディ・アマーストは謎の人物に犯され、妊娠する。一方、新しい恋人を得たジェイコブ・ホーナー君は、再生復帰院を出ようとしていた。そして自分が人生の第二周期を生きていると感じたトッド・アンドルーズはある決意を胸に最後の航海に出るが…。七人の手紙の書き手によるそれぞれの物語は次第に交錯し、合流しながら、ついに『レターズ』は大団円を迎える。巨大な螺旋を描いて循環するアメリカの歴史と人々の生を、濃密な物語性と緊密なテクストによって描き出した、20世紀文学を代表する巨人ジョン・バース畢生の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤーマダ
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読了までに半年以上もかかったのには自分でも驚いた。主に60年代米国を舞台に本作までの著者作品の主人公orその子孫or主要人物、更に作者自身も加わり書簡形式で「アメリカ」が壮大かつ多面的に語られる。バーリンゲイム・クックの家系のその後が読めたのは嬉しかったが、一族の子孫が米建国からの歴史で暗躍する話が延々と語られるのは、例えば外国人が明治維新で活躍した人名をすぐにはピンと来ないように、理解が追い付かず苦痛を感じもした。事前に少なくとも「フローティングオペラ」「旅路の果て」「酔いどれ草の仲買人」は必読かと。2014/09/15