内容説明
浄瑠璃・洒落本・狂文・見立絵本・黄表紙・読本と、江戸後期俗文芸のほぼ全てのジャンルにその才を遺憾無く発揮した森島中良。また彼は風流・放逸・奇行・放浪の諸要素、隠逸・多芸・反俗・博学の諸条件を全て満たしたこの期の文人の典型ともいうべき文人でもあった。化物絵本のパロディ『画本纂怪興』、傑作ながら未翻刻であった『凩草紙』、琉球もの板本の中でも代表的な位置を占める『琉球談』他、中良の多才振りを示す作品を収録。
感想・レビュー
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ヴェネツィア
221
【感想は「蛇蛻青大通」のみ】森島中良は、この時代の文人らしく、たくさんの名前を持っているが、中で最もわかりやすいのは風来山人二代目福内鬼外だろう。随分と洒落のめした名前だが、ここから彼が風来山人こと平賀源内の弟子であったことがわかる。本編は天明2(1782)年の刊行。私は洒落本だと思って読んでいたのだが、解題の石上敏氏によれば、どうもそうではないらしく(洒落本とするものもある)談義本であるらしい。ともかく、当世の「通」を最早そんなものは流行らぬと洒落本を批判的に見、遊女の誠ではなく、むしろ客にそれを⇒2025/01/31