感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
19
「掛軸の如来様が急にユラユラと動き出して、生けてあった梅の枝をソッと押しのけ、コトンと軽い足音をさせて床の間に降りると…『半介、どうだね』と言った時には、流石のわたしも少し驚いた」「私の心臓がヒョイと飛び上がって、私の口の中に出てきてしまった。そして、無理にも口の外に跳ね出そうとするのである」その作風で”不思議小説”などといわれる三橋一夫ですが、三橋本人は”テレ性だから変な具合になっただけの私小説”であるといい張るwこのトボケ具合が藤枝静男や牧野信一を思わせるwゴーゴリの『鼻』や『外套』の世界に近いかな?2016/09/21
シガー&シュガー
14
短編集であるせいか一話一話のカラーが定まっている感じ。「魔の沼」より落ち着いて面白がれる不思議小説集。クセがある筆の中にいつも暖かみがあって、それが作者特有のテレというやつのせい(?)でファンタジーをまとって供されるそのスタイルがとても良い。個人的には動物がキーになるお話は好きではないのだけれど、トクロポントやカリガッチ、YUMEは個人的な好き嫌いを超えて煙に巻かれて読み通してしまい、読後に何度も反芻するくらい味わってしまった。が、一話選ぶなら、奇妙だけど素敵な恋愛小説の「角姫」。キュンとしました。2017/11/16
竜王五代の人
2
「日本怪奇小説傑作集 2」に収録されていた作品から、三橋一夫という作家に惹かれて単著を読んでみた。口がなくなったり、掛け軸から仏さまが出てきたり、しゃべるネズミが登場したり、とユーモラスな世界。それに対して驚くこともなく、むしろ嬉々として応対する人たち。そういうところは童話っぽいのだが、感情表現が現代小説っぽいところで味がある。そして、どの物語にも漂う寂しさと言うか不安感というかが持ち味だと思う。2022/05/01
来古
1
「腹話術師」「白鷺魔女」「空袋男」「親友トクロポント氏」「島底」「久遠寺の木像」「鏡のなかの人生」「招く不思議な木」「夢」「秋風」「ばおばぶの森の彼方」「勇士カリガッチ博士」「怪獣YUME」「鬼の末裔」「角姫」2024/08/01
madhatter
0
図書館本。
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- 和書
- 鬼火 <VHS>