出版社内容情報
森鷗外 著
須永朝彦 編
鷗外の作中もっとも怪異味が濃厚な「鼠坂」。怪談会を舞台にした「百物語」。一篇の書簡を振出しに寿阿弥像を考証する「寿阿弥の手紙」。他に、「秋夕夢」「うたかたの記」「流行」「空車」等11篇。
著者紹介
須永朝彦 (スナガアサヒコ)
1946年、栃木県生まれ。歌人・作家。 著書に、「鉄幹と晶子 」(評伝)、「東方花傳」(歌集)、「就眠儀式」(吸血鬼譚集)等がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
63
再読多し。「蛇」の御新造さんのニヒリズムからの人間に一切の期待を平等に抱かない思考に対し、精神病医師の診察を薦める展開にその一端がある私は衝撃を受けました。そうか、人に期待しすぎて依存してうんざりさせるよりも程よい距離を取って心穏やかにする為の処世術も過ぎれば異常なのか・・・。怪談話かと錯覚させる「百物語」は極めて現実的な終わり方をする。対して「鼠坂」は何食わぬ顔で犠牲にした魂が追いついて復讐したかのようなホラーとも良心の呵責を呼び覚ますミステリーともなれる傑作だ。何故なら語りの滑らかな変化がそれを支える2022/03/25
てくり
1
収録作品がバラエティに富んでる。2009/04/29