感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
5
市民社会で居場所を失いつつあった「天才」、神に愛でられた「英雄」を詩人・芸術家として復権させるというのがロマン主義の一つのモチーフ。ブレンターノは彼自身その「天才」に近いらしい。その妹アルニムのメルヘンは寓意性は希少だがロマン主義の啓蒙的半面を代表していて暗さを感じさせない。その娘ギーセラの世代になるとメルヘンが文学の一形式として定着したらしい。寓話の要素はほとんどなくてむしろ小市民の現実逃避の手段になってる。その分、現代の児童文学、マンガやアニメにも近い。ハイネが批判したロマン主義もこの後期ロマン主義。2020/09/06